米南東部ジョージア州に本社を置くチキンサンドのファストチェーン店 「チックフィレイ」(Chick-fil-A) が29日、ニューヨークのフィナンシャルディストリクトに世界最大となる店舗をオープンした。
フルトンストリート(住所:144 Fulton St)に完成した地下を含む5階建ての店舗は、1万2千平方フィート以上の面積で、通常の店舗の2倍以上のスペースとなる。ニューヨークへの初出店は2年前の2015年で、フルトン店は、先日オープンしたグランドセントラル店に次ぎ、5店舗目となる。
日本には未進出のため、その名はあまり知られていないが、年間100店舗以上をオープンする、拡大を続ける注目のファストチェーン店だ。
新フルトン店の店内
1階にはキッチンとレジカウンターがあり、タッチスクリーンパネルのタブレットを持参したスタッフが、列に並ぶ顧客からオーダーを受ける。レジでは、料金を支払い、すぐに商品を受け取ることができる。アプリなどデジタル技術の効果的な導入は、チックフィレイの大きな特徴の一つとなっている。
2階から4階の3フロアに合計140座席。席同士は離れており、ゆとりのあるスペースとなっている。店内では、無料のWIFIを使用することができる。
フルトン店は、地元の住民Luke Cook氏が所有し運営する。Cook氏は、コミュニティーの人々の憩いの場として、同店を利用して欲しいと述べている。
最上階のルーフトップテラス。ワンワールドトレードセンター(One World Trade Center)を見ることができる。
チックフィレイとは
1967年にアトランタに初店舗をオープンし、現在の店舗数は2,300店にのぼる。BuzzFeedが報道したレストランコンサルタントTechnomicのデータによると、2020年までには、バーガーキングや、タコベル、ウェンディーズを抜き、マクドナルド、スターバックスに次ぐ米国第3位の売上を誇るファストフードチェーン店となることが予想されている。
QSRマガジン2017のレポートによると、チックフィレイは、週5日のみの営業にもかかわらず、同社の店舗あたりの年間売上は、400万ドル(約4.4億円)となる。なお、マクドナルドは1店舗あたり250万ドルで、スターバックスは110万ドルとなっている。また、昨年の売上は90億ドル(約9900億円)で、2016年よりも10億ドル以上売上を伸ばしている。
高品質なメニュー開発にも積極的に取り組んでいる。2014年に抗生物質を使用しないチキンの導入を決定し、昨年からはグルテンフリーのバンスに切り替えた。また、グリルドチキンナゲットを子供向けメニューに取り入れるなど、健康に配慮したメニューを導入している。
社の方針として、ホスピタリティーを重視しており、YouGovBrandIndexの調査によると、顧客満足度は他のファストフードチェーン店に比べて高い。新店舗では、従業員が「味はどうだった?」など顧客に積極的に声をかける姿が見られた。
デジタル技術の導入で、顧客の利便性の向上を目指している。2014年からタブレットを使用したオーダーを開始。2016年にリリースしたアプリは、2年間で1,000万ダウンロードされた。顧客は、アプリを通じて、パーソナライズ化したメニューをオーダーすることができ、少ない待ち時間で、商品を受け取れることができる。
同社のパブリックイメージは、厳格なキリスト教主義かつ、保守派として知られている。2013年に現在CEOを務めるダン・キャシー(Dan Cathy)氏は、同性婚への反対を表明し、LGBT団体など多くの人から非難を浴びた。2016年にはニューヨークのビル・デブラシオ市長は、ニューヨークでのチックフィレイ第1号店のオープンに関して、同社のビジネスをサポートしないようにと記者会見で述べるなど、政治的な場面での影響も及ぼしている。同社は現在、政治的な発言については、差し控えている。
Chick-fil-A Fulton Street
144 Fulton St, New York, NY 10038
営業時間:6:30am — 10pm(日曜閉店)
www.chick-fil-a.com