ニューヨーク州議会は、2050年までに温室効果ガス排出をネットゼロにする法案「Climate Leadership and Community Protection Act」を承認した。
法案は18日に上院を通過し、19日に下院で可決された。アンドリュー・クオモ知事は署名する意向を表明している。
クオモ知事は声明で「法案の通過により、ニューヨークは全米で最もアグレッシブな気候変動対策法を施行することになる」と述べ、「気候変動を無視することは、我々の子供達が壊滅的な結果に対処しなければならないことになる。ワシントンが目を背け、数十年におよぶ環境保護を後退させるあいだ、ニューヨークはネットゼロ排出の将来に目を向ける」と語った。
法案では、2050年までに温室効果ガス排出量を1990年レベルの85%以下に削減する目標を設定。残りの15%については、植林や湿地の回復など、炭素吸収策によって相殺する。このほか、2040年までに再生可能エネルギーで州のすべての発電量をまかなうことも定められた。
推進にあたっては、州機関や専門家などを交えた22名の特別委員会を設置し、気候ジャスティス・アドバイザリーグループなど、関係グループと連携して、スコーピングを確立する。
このほか、2035年までに少なくとも9ギガワットを洋上風力発電で、2025年までに6ギガワットを太陽エネルギーで供給することや、クリーンエネルギーのための州の基金の35%を、公害によって不当な影響を受けたコミュニティーに割り当てることなどが盛り込まれた。
ニューヨークタイムズによると、1990年から2015年の間、ニューヨーク州の炭素排出量削減はわずか8%にとどまっており、目標は非現実的とする批判もある。
マンハッタン政策研究所のJonathan Lesser氏によると、現在州で消費されるエネルギーの85%は化石燃料によるものだといい、自動車や石油燃料炉など、すべてが消費する化石燃料をカバーするには、発電能力の飛躍的向上が求めらる。
また、1日あたりの電力をまかなうには、15万基の巨大な風力タービンが必要となるが、十分な場所が確保できないと主張。さらに州全体をソーラーパネルで覆ったとしても足らず、エネルギーをどのように確保するのか、疑問を呈している。