次はFoxニュースで対決を、ハリス氏のインタビューに賛否

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29日にCNNで放送されたカマラ・ハリス副大統領のテレビインタビューをめぐって、米メディアでは成功だといった前向きな評価がある一方、厳しい意見も寄せられている。

ハリス氏が正式にテレビインタビューを受けるのは、バイデン氏が撤退し、後継候補として名が浮上した7月21日以来初めて。トランプ氏から「インタビューを受けないのは賢くないからだ」と攻撃を受けるなか、台本なしの状況でジャーナリストによる質問をいかにこなせるか注目が集まった。

NPRは、ハリス氏は落ち着いて、政策をめぐる立場の変更を突っ込まれても動揺せず、パフォーマンスの観点からは「テストに合格」と評価。MSNBCの政治コメンテーター、シモーヌ・サンダースー・タウンゼント氏は、ハリス陣営に傷はつかなかったとしつつ、スタートとしては成功とした。また、インタビュアーのダナ・バッシュ氏について、国民が聞きたいことを掘り下げ、答えを引き出したと評した。

一方、USAトゥデイのコラムニスト、イングリッド・ジャック氏は、ハリス氏は政策をめぐる姿勢変更の理由を提示できなかったと批判。政権に期待できるものが明確に示されず、答えよりも多くの疑問を国民に残したと厳しい評価を下した。

ハリス氏は、2020年の民主党大統領予備選で、タウンホールイベントに出演した際、「フラッキング」技術を使った天然ガスや石油の採掘を禁止することは「疑問の余地がない」として支持を表明したが、その後容認姿勢に転換した。フラッキングは環境汚染、負荷を与えるとして長らく議論の的になっており、とりわけエネルギーセクターの労働者を多く抱える激戦州ペンシルベニアで、わずかな票差を生む争点として注目されている。

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立場を変えた理由を聞かれると、気候変動に関する「私の価値観は変わっていない」と強調しつつ、副大統領の経験を通じて、フラッキングを禁止せずともクリーンエネルギー経済を創造できることがわかったと主張した。

不法移民対策については、取り締まりを厳格化する法を推進するとした。2019年の予備選討論会では、違法な国境超えを非犯罪化するべきと主張しており、その矛盾を突かれると、「不法に国境を渡る人々に対処する法は遵守され、実行されなければならない。罰則が科されるべきだ」と回答。「私の政策観点で最も重要な点は、私の価値観は変わっていないということだ」と改めて語った。

インタビューではまた、閣僚に共和党議員の起用を検討する姿勢も示した。

ハリス氏のこうした中道路線シフトは、トランプ氏らによる「極左」レッテルをかわして、みんなの大統領をアピールして広い支持層を獲得する狙いがある。

これに対してトランプ陣営は、人気取りのために態度を容易に変える信頼の置けない人物として批判をしている。

CNN以外のメディアに出て、試されるべきとの意見も上がっている。

ワシントンポスト紙の副論説編集長のディビッド・フォン・ドレール氏は、過去2回の選挙でかつてなく左に寄った民主党の「狂気」に巻き込まれたハリス氏は、「態度をコロコロと変える」しか方法がない、と一定の理解を示しつつ、中道になるならばハリス陣営はFOXニュースの番組「フォックス・アンド・フレンズ」に出演させるべきだと主張。「スティーブ・ドーシー(同番組の司会)に対応できないようならば、大統領になる資格はない」と述べるなど、試練は不十分との考えを示した。