「ヘイトの象徴」としてニューヨーク市が撤去対象として検討していた像のひとつ、コロンバスサークルのクリストファー・コロンブス像は、自治会での公聴会など90日間のレビューされた後、現状のまま設置が継続されることが決定した。ビル・デブラシオNY市長は、像はそのままとなるが、先住民の存在を認識させる新たなモニュメントの設置検討していると述べた。
きっかけはシャーロッツビルでの死傷事件
像の撤去が検討され始めたのは、昨年8月バージニア州シャーロッツビル(Charlottesville)で起きた事件がきっかけとなった。この事件では、ネオナチやKKKなどの白人至上主義団体と反対派がバージニア大学付近で衝突。抗議に参加したグループに向けて車が暴走し、死傷者が出た。その後全米では、南部連合軍のリー将軍など像の撤去の動きが拡大することとなった。
昨年、ニューヨーク市は、市内に設置されている「ヘイトの象徴」となる像を調べるため、記念碑委員会を発足。約800以上の像やモニュメント、目印が検証された。
最初にアメリカ大陸に到達したと言われているイタリア人のコロンブスは、カリブ海で先住民を無差別に虐殺したり、奴隷貿易に加担したとして非難されており、撤去の対象として検討されていた。
議論の対象となっていた像
自然史博物館(Natural History Museum)の前にあるセオドア・ルーズベルト像も、先住民の虐殺を肯定したため、検討対象となっていたが、そのまま設置されることとなった。
セントラルパークに設置されている産婦人科の父、外科医のドクター、マリオン・シムズ(Marion Sims)像は、奴隷を人体実験に利用したことが問題視されていた。像は、氏が埋葬されているグリーンウッド墓地(Greenwood Cemetery)へと移設されることとなった。像のある場所(Perimeter Wall at Fifth Avenue & 103rd St)には、プラークが設置される予定となっている。
また、ローワーマンハッタンに設置されているフランスのフィリップ・ペタン将軍(第一次世界大戦時に活躍するが、後にナチスの協力者となり非難された)のキャニオンオブヒーローズのプラークもそのまま設置される。
昨年はブルックリンで、リー将軍の銅像や記念プラークなどが撤去された。