保守派のイベント「保守政治行動会議(CPAC)」で実施された2028年の大統領候補を問う人気投票で、JDバンス副大統領が圧倒的支持(61%)を集め首位に輝いた。
12%の支持を得て2位に浮上したのは、政治家ではなくトランプ支持者に強い影響力を持つスティーブ・バノン氏だった。
3位は昨年の共和党予備選の序盤で撤退したフロリダ州のデサンティス知事(7%)、4位は国務長官に任命されたマルコ・ルビオ元上院議員(3%)、5位は国連大使に指名されたエリス・ステファニク下院議員(3%)、トランプ家の長男トランプ・ジュニア氏(2%)が5位に食い込んだ。
バノン氏は2016年大統領選でトランプ氏の勝利に貢献し、第1期トランプ政権でホワイトハウス首席戦略官を務めた。ブライトバートニュースを著名なオルタナ右派メディアに押し上げ、現在はMAGAサポーターに強い影響力を有する配信メディア『War Room』を運営している。議事堂襲撃事件を調査する議会委員会の召喚を拒んだことから有罪判決を受け、昨年7月から選挙直前まで連邦刑務所に服役した。
敬礼論争がまたまた勃発
CPACにスピーカーとして登壇したバノン氏は、「われわれはトランプ2028を望んでいる」と主張。憲法に反するトランプ氏の3期目を呼びかけた。さらに「ファイト・ファイト・ファイト」と叫び、会場の歓声を受けながら右手を突き出した。
この仕草をめぐって、「ナチズムが公式に共和党を乗っ取った」「スティーブ・バノンがナチス敬礼をやった。これがトランプのアメリカだ」など、リベラル派を中心にナチスを模倣したとの非難が噴出。ユダヤ人の擁護団体「名誉毀損防止同盟」は、「スティーブ・バノンが反ユダヤ主義と憎悪を扇動し、暴力を脅し、過激主義をエンパワーしてきた長く不穏な歴史はよく知られている」とした上で、「われわれは驚かないが、こうした振る舞いが常態化していることを懸念している」と声明を発表した。
1月20日の就任式後のイベントで、イーロン・マスク氏が類似したジェスチャーを行い批判にさらされた。ネットでは批判者と支持者の間で何式かをめぐる敬礼論争が勃発した。
なお、バノン氏は敬礼ポーズについて「群衆に手を振った」だけだと反論している。