ベーグルに欠かせない食材「クリームチーズ」が、今週中にも底をつくかもしれない。ニューヨーク市の有名ベーグル店が、在庫を確保するために奔走する様子を、ニューヨークタイムズが報じている。
アッパーウエストサイドにある「アブソリュート・ベーグル」で11年間務める従業員によると、現在確保できているのは、今週の木曜日分まで。卸業者にも在庫がなく、売り上げにも影響が出るだろうと懸念を示した。品不足に陥るのは、記憶する限り、今回が初めてだと語っている。
「ピック・ア・ベーグル」のマネージャー、ペドロ・アギラールさんは、在庫は月曜日までの分しかないと明かした。「トンプキンス・ベーグル」のオーナー、クリストファー・プリエーゼさんは、注文済みのクリームチーズ350Kgは、今週中に納品されない見通しだと説明。「週末は、いったいどうなるのか」と不安な心境を語った。在庫不足を補うため、小規模農家に直接連絡しているという。
「ベーグルスミス」のオーナー、フランク・マッテラさんは、900Kgのクリームチーズを調達するため、ニュージャージー州北部まで出かけるという。
一方、アッパーウエストサイドの「ゼイバース」では、10日分を確保することに成功した。8つの卸業者に連絡し、「懇願」したという。
▼ミッドタウンにあるエッサ・ベーグルのクリームチーズベーグル。いつもは気前よくサンドされているるクリームチーズも、分量を調整しているのか、今回は少なめ。
ブルックリンにある乳製品の卸業者は、過去3週間、メーカーに注文した商品の納品が遅れていると明かしている。F&Hダイアリーズのオーナーは、過去30年間、在庫が尽きたことはないが、ここ数日間で突如、在庫不足に陥ったと語っている。現在再入荷の「目処は立っていない」という。
タイムズによると、多くのベーグル店では、1870年代にニューヨークで創業したクラフトハインツ社のフィラデルフィア・クリームチーズを使用しているという。
クラフトハインツ社の広報担当者は、特定の製品の需要が、昨年に比べ、急増していると説明。業者への出荷量は増やしているとしながらも、自宅で朝食をとったり、デザートの材料として、クリームチーズを使用したりする人も増加しているため、品不足の傾向は続くだろうと話している。
先日は、ニューヨーク名物の「1ドル」ピザ屋も、サプライチェーン危機に加え、インフレや、労働者不足などの影響により、値上げに踏み切ったと報じられた。
ニューヨーカーのソウルフードの品不足や値上げは、今後も続きそうだ。