2021年にセクハラ疑惑で辞任に追い込まれたニューヨークのアンドルー・クオモ前州知事(65)が、次期ニューヨーク市長選への出馬の可能性を探っているという。
ポリティコによると、クオモ氏は、選挙陣営の活動が連邦捜査に直面しているエリック・アダムス市長が「沈む」可能性があれば、立候補したいと近しい者に漏らしたといい、すでに実現の可能性をめぐる測定を開始しているという。
先週、明らかにクオモ氏によるものとみられる世論調査が出回り、話題になっていた。
ネットにシェアされた画像によると、クオモ氏とアダムス氏のどちらが市運営で良い仕事をすると思うかといった質問や候補者になった場合の投票の可能性、辞任のきっかけとなったセクハラ疑惑やそれをめぐる訴訟の影響などを推し量る問いなどで構成されていた。
専門家によると、調査はバージニア州のリサーチ企業「Expedition Strategies」によるもので、ニューヨークポスト紙は昨年、クオモ氏は同社に9万3,000ドルを支払ったと報じていた。
クオモ氏は2020年のパンデミック時に発揮したリーダーシップで高い評価を得たものの、その後、老人ホームの死者数を隠蔽した疑惑、さらに複数の女性に対するセクハラ疑惑が浮上。レティシア・ジェームズ司法長官は数ヶ月間におよぶ調査の末、最終的に11人の女性がセクハラ行為を受けたと結論づけた。州議会が弾劾に向けて動き出した2021年8月、自ら辞任を表明した。ただし、セクハラ疑惑については否定を貫いた。
このうちの2人の女性との間で民事訴訟が続いているが、いずれのケースも刑事訴追に至らなかった。
クオモ氏出馬の憶測が流れる一方で、アダムス政権の先行きに暗雲が漂いはじめている。
今月2日、連邦捜査局(FBI)は、アダムス氏の選挙陣営がトルコ政府から違法に寄付を受け取った疑惑をめぐり、市長の資金調達担当の自宅に強制捜査を行なった。この翌週には、FBI捜査官がアダムス市長から携帯電話など数台の電子機器を押収していたことが明らかになった。
市長は捜査対象になっておらず、不適切な行為はなかったとしてるが、最新の世論調査によると、住民の7割以上が、選挙活動でなんかの過ちを犯したと考えていることが明らかになった。
移民流入問題やイスラエル・ハマス紛争をきっかけとした憎悪犯罪の増加といった問題に直面しており、支持率は昨年3月の61%から37%に低下した。
なおクオモ氏とアダムス氏は親しい間柄で、複数の関係者は、アダムス氏が続投を断念しなければ、クオモ氏が候補者に名乗りをあげることはないだろうと話している。