ニューヨーク州 家賃規制の大幅改革。居住者保護法が成立

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ニューヨーク州では14日、家賃規制に関する法律を強化し、家賃の高騰や立ち退きから居住者を保護する新法が成立した。

一連の新法案「2019年住宅安定及び住人保護法」(The Housing Stability and Tenant Protection Act of 2019)は14日、昨年の中間選挙以降、民主党が多数派を占める上院を36-26で、下院を95-42で通過。アンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)州知事が署名した。以前の家賃法は同日深夜に期限切れを迎えた。

クオモ州知事は「私は、ニューヨーク州の歴史の中で、最も抜本的かつ積極的な住民保護法案を求めてきた。本日可決された法案は、最も強力な一連の改革であり、ニューヨークすべての住人にとって、大きな前進だと確信している。」と声明で述べた。

新法では、賃料規制の除外ルールを廃止するなど、より多くの物件の賃料をコントロールし、急騰を防ぐほか、規制の適用範囲を州全域に拡大する。また、優遇賃料を更新時に継続することや、修繕工事にともなう賃料上昇率の上限引き下げなど、オーナー側により厳しい制限が設けられる。

法改正は、ニューヨーク市の5つの行政区のレント・コントロール(rent-controlled)またはレント・スタビライズ(rent- stabilized)の建物に居住する100万世帯、約240万人に影響を与えるほか、市外に暮らす州民全体に強い保護が適用される。

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新法の要点

  • 優遇賃料(preferential rent)の継続:レント・スタビライズ物件の家主はテナントにたいして法定上限より低い賃料を提供できる。しかし、更新時に上限まで引き上げることができ、予想外の大きな引き上げがテナントの重荷となるなどの問題が生じていた。新ルールでは、更新時も優遇賃料が保証される。
  • vacancy bonusの廃止:住民が退去し空室となった際に、家主が家賃を最大20%まで値上げすることができる条項(vacancy bonus)を廃止する。支持者らは、同条項がレント・スタビライズ物件のテナントに対する嫌がらせや追い出しに利用されていると主張していた。
  • vacancy decontrolの廃止:スタビライズ物件の賃貸料が2,774.76ドルを超えた場合、家賃統制を解除することができる条項(vacancy decontrol)を廃止する。1994年に導入された同条項がレント・スタビライズ物件の減少につながっていると反対されていた。
  • 借主の所得が前2年間、20万ドル以上の場合、家賃統制を解除する条項(High-income deregulation)の廃止。
  • 建物の大規模修繕や改修など主要設備の改善に伴う賃料上昇率を、6%から2%に制限。

Rent Guidelines Boardによると、1993年から2016年の間に15万2,000戸が家賃統制を解除し、市場価格のアパートメントへと変更された。

新法の成立を受け、不動産業界は強い反発の声を上げている。業界は2002年以降、クオモ知事に1,900万ドルの献金を行なっている。

レント・スタビライズの家主らは、ニューヨークの住宅戸数の事情を悪化させたり、中小企業の家主が廃業の危機に瀕すると非難している。2万5,000戸の家主を代表するレント・スタビライズ組合(Rent Stabilization Association)のジョセフ・ストランバーグ(Joseph Strasburg)代表は、多くの家主がアパートの改修工事を取りやめたとして、地元の請負業者らが仕事がなくなるため労働者を解雇するなど悪影響を及ぼすと主張した。

Mashup Reporter 編集部
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