米国最大手の薬局・コンビニチェーンのCVSヘルスは20日、大麻から抽出されるカンナビジオール(CBD)を使用した製品の販売を開始することを発表した。
CBD製品はクリームやスプレー、ロールオン、ローション、軟膏のような外用剤に限られ、食品は扱わない。販売地域を限定し、アラバマ、カリフォルニア、コロラド、イリノイ、インディアナ、ケンタッキー、メリーランド、テネシーの8州にある約800店舗で取り扱いを始める。
なお、大麻の茎や種子に含まれるCBDは、大麻のもう一つの成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)と作用が異なり、精神を活性化する作用はなく、ハイになることはない。
ラリー・メルロ(Larry Merlo)最高経営責任者はCNBCのインタビューで、「関節炎やその他の症状の痛みを緩和するのに役立つ製品について、顧客から話を聞いていた」と顧客の関心の高まりについて述べ、「ゆっくり歩むつもりだが、我々は、これが顧客が健康製品の一部として求めているものだと考えている」と、慎重に展開する姿勢を示した。
NBCによると、CBDは、不安症や痛み、炎症、さらにはガンにまで効果があるなどとうたわれ、注目をされているが、信頼のおけるリサーチはほとんど行われていない。CBDを含む処方薬で、アメリカ食品医薬品局(FDA)が承認しているものは、Epidiolexという一部のてんかんの発作のための治療薬のみだという。
CBD製品の市場は急拡大が期待されており、各業界が注目している。コスメチェーンのセフォラ(Sephora)やウルトラビューティー(Ulta Beauty)では、30-60ドルの価格帯でCBDオイルやローションなどの製品の販売をスタートしている。
連邦法による規制の現在
トランプ大統領が署名した2018農場法案(Farm Bill)では、規制物質法(Controlled Substances Act, CSA)より、THC濃度が0.3%未満の大麻製品が除外された。同法案により、一部の大麻入り食品の製造や、流通および販売は、合法とみなされるようになった。
しかし、連邦食品・医薬品・化粧品法では、CBDのような原材料を食料品に混ぜたり、健康補助食品として販売することを禁じており、アメリカ食品医薬品局(FDA)は昨年末、「根拠なく治療効果をうたい、未承認の製品を販売することは違法であるだけでなく、製品の安全性と効果が証明されていないために患者を危険にさらすこととなる。」と注意を呼びかけた。
FDAに従い、ニューヨーク市保健局(New York City Health Department、DOH)は1月、レストランやバーに対し、大麻から抽出されるカンナビジオール(CBD)を使用した食品や飲料の販売を禁止することを命じた。
その後DOHは、レストランなどに対して、10月1日以降にCBD食品や飲料を販売する店舗は、罰金が科せられるか等級に影響を与えると告知していたことが分かった。