ニューヨークのビル・デブラシオ市長は9日、企業に有給休暇を義務付ける法案をすすめる計画を明らかにした。
対象は従業員数5人以上の企業で、年10日間の有給休暇を従業員に提供することを義務付ける。休暇は、バケーションや宗教上の儀式、忌引き、家族との時間など、いかなる目的にも使用できる。
法案の成立には、市議会の承認が必要となる。市長の発表によると、有給休暇の義務付けは全米で初めて。独自に有給休暇制度を設けている企業はあるが、現在、50万人以上が有給休暇を取得できない状況だという。
デブラシオ市長は声明で「他の国はすべて有給休暇の必要性を認識している。我々もそこに到達しなければならない。ニューヨークがその道を切り開く」と意気込みを語り、「コリー・ジョンソン議長と市議会とともに、この重要な法案について取り組むのを楽しみにしている」と述べた。
有給休暇の義務付けにより、専門サービス業18万人、小売業9万人、ホテルや飲食業の従業員20万人が恩恵を被る。なお、市職員に対しては、すでに2週間以上の有給休暇制度を開始している。
米国は先進国の中で唯一、有給休暇の義務付けがない。中間所得層の4人に一人が、有給休暇を得られていない。
就任以来、デブラシオ市長は従業員の権利拡大に努めてきた。2014年に、市は最低40時間の有給病気休暇の提供を雇用主に義務付けた。一方、ニューヨーク州のクオモ知事は、昨年12月31日から15ドルの最低賃金をスタートした。
市長案では、正社員かパートにかかわらず、30時間勤務するごとに1時間の有給が生じるという。使用しなかった休暇は、10日を限度に翌年に引き継ぐことが可能。雇用主は従業員に対し、有給休暇をとる2週間前の告知を要求することができる。また、従業員が一斉に休むなどの問題を避けるため、一定の例外も設ける。
デブラシオ市長は前日、不法滞在者を含む、ニューヨークの全住民に対する医療保障制度(NYCケア)を発表した。