ニューヨーク発の高級食料品店ディーン&デルーカ(Dean & DeLuca)が、米国内の9店舗のうち3店舗と、3ヶ月前にミートパッキング地区にオープンした新コンセプトカフェ「ステージ」(STAGE)を閉鎖することが分かった。ニューヨークタイムズが報じた。
先月30日には、 アッパーイーストサイドとカリフォルニア州ナパバレーの店舗を閉鎖している。
親会社の経営危機
ディーン&デルーカは、ジョージオ・デルーカ(Giorgio DeLuca)氏と故ジョエル・ディーン(Joel Dean)氏が1977年に開業した。2003年東京に進出以来、アジアや中東にも店舗を展開している。
2014年、タイの富豪で起業家のソラポ・テシャクライシー(Sorapoj Techakraisri)氏が経営する不動産会社ペース・デベロップメント(Pace Development)社が1億4,000万ドルで買収した。日本では株式会社ウェルカムがライセンスを取得し、事業展開する。
ペース・デベロップメントによる買収後、納入業社への支払い遅延や、スポンサー契約の破棄、賃料の不払いなど多くの問題が浮上している。ノースカロライナ州、カンザス州、メリーランド州など全米に40店舗あった店舗は次々と閉鎖された。
ペース・デベロップメントは、タイで最高層のビル「マハーナコン・タワー」(Mahanakhon tower)や高級ヴィラ「MahaSamutr」の開発を手掛けたことで知られる。ディーン&デルーカを買収した2014年の純損失は1,100万ドルだったが、2017年のマハーナコン・タワーを開業後、2018年の純損失は1億5800万ドルとなっている。
タイムズによると同社は今年3月の決算資料で、営業損失が持続的であることを認めており、債務超過に陥っている同社の事業の継続性について、債権者は警戒感を強めている。
地元業社に多額の負債
タイムズによると、大手サプライヤーに加え、共に成長してきた地元の小規模サプライヤーに対しても多額の支払いの遅延や滞納が生じている。ブルックリンのベーカリーBien Cuitは7万5,000ドル、マカロンメーカーはColson Patisserieは2万4,000ドル、ベーカリーAmy’s Breadは5万1,000ドルの支払いを求めている。15年にわたって同社に納入してきたニューヨークのベーカリー、Eleni’s Cookiesは昨年末に供給をストップし、8万6,000ドルの支払い求めて今年4月に同社を提訴した。
Eaterによると、クッキーを製造するAmy’s Cookiesは、7万1000ドルの未払い金があり、現在倒産の危機にさらされている。3週間前にカンザス州で、ディーン&デルーカを提訴している。
ソーホー店は引き続き営業を続けるという。