離陸前のデルタ航空の機内で、ファーストクラスの荷物棚を使おうとしたエコノミークラスの乗客が、客室乗務員から制止され、暴言を吐かれた挙句、降機させられる出来事があった。
トラブルに遭遇したのはトーマス・トッドさんと妻ジェンさん。トッドさんがView From the Wingに説明したところによると、昨年11月7日、フロリダ州オーランド空港からニューヨークのラガーディア空港に向かうデルタ航空1260便に搭乗したところ、頭上の手荷物入れに十分なスペースがなかったため、近くのファーストクラスの棚にバックパックを移動した。この時、ファーストクラスはすでに満席だった。
ただしこれを見た一人の客室乗務員が、棚はファーストクラス専用だと注意。荷物を取り出して、自分の座席の前に置くよう指示した。
トッドさんは乗務員に対して、追加費用を支払い「Delta Comfort+」にアップグレードしており、これに伴うゆったりとした足元の空間を失いたくないと説明。しかもバックパックはそこに収まる大きさでもなかったという。
事態はこれで終わらなかった。
そうするうちに機内の安全ビデオがスタートしたが、乗務員はトッドさんのすぐ前に立ち、「非常に無礼」な態度でビデオを見るよう注意。「何か学ぶところがあるだろう」などと述べたという。トッドさんが左前方のテレビで視聴していると反論すると、今度は妻ジェンさんに向かって、「間抜けな面で私を見ないで」と暴言を吐いた。さらに、ジェンさんが聞き返すと、自分はブロンクス出身で、そうしたことをして欲しくないなどと説明を続けたという。
ただ微笑んでいるだけで妻に非がないと思ったトッドさんが、この様子をビデオで撮り始めると、乗務員は、撮影は許可されておらず降機させると警告。ゲートに戻った後、5人の係員が二人を連れ出そうとやってきた。
ビデオを確認した係員は謝罪をし、機長も同様の態度を示したという。ただし客室乗務員は、二人が搭乗していると安全でないと感じると言い張り、結局トッドさんらは降機を命じられた。
その後二人のフライトは、アトランタ経由の便に変更させられたが、アトランタ-ニューヨーク間はファーストクラスにアップグレードされたという。
デルタの対応は?
デルタ航空のカスタマーサービスはフォローアップをすると約束したものの、連絡があったのはトッドさんがSNSにビデオを投稿(現在は削除)した後だったという。デルタ側は、補償に関する協議をする間、互いの信頼関係の証としてビデオを取り下げるよう依頼したという。ただし、投稿を削除したにもかかわらず、連絡が途絶えたため、トッドさんは今年に入り改めてSNSやメディアで身におきたことを共有するに至った。
この騒動に対し、ネットでは賛否の声が上がった。「ここ最近の客室乗務員の質はひどい」「プロフェッショナルな対応じゃない」とスタッフを批判する意見の一方、「そもそもファーストクラスに預けるべきではない」「この話にはもっと何かがあるはずだ」と男性を批判したり、主張を疑ったりする声が投稿されている。あるユーザーは、「後部座席の人が、飛行機を降りる時に便利だからと言って機内の前の荷物入れに置いたためだ。頭上の荷物入れを座席の一部にするべきだ」など手荷物のルールに関する問題を指摘している。