映画撮影のリハーサル中に俳優が実弾の入った銃を発砲し、スタッフが死傷事件について、サンタフェ地区を担当するメアリー・カーマック・オルトウィス検事は、刑事訴追の可能性も排除しないと話した。
ニューヨークタイムズによると、電話取材に答えたオルトウィス検事は「何も排除しない」と述べ、「現段階では、刑事訴追を含む全ての可能性について、検討している」と話した。
現在、どの種類の弾薬が入っていたのか、誰が弾薬を込めたのかを判断するため、弾道の捜査に焦点をあてていると説明した。
撮影現場には膨大な量の弾丸があったという。27日に開かれた会見で、サンタフェ郡保安官室のアダン・メンドーサ氏は、押収品目は600点で、このうちの500点が弾薬で、3丁の拳銃を押収したと述べた。このうち1丁は本物のビンテージ銃で、2丁は機能しない銃だった。
事件は21日、ニューメキシコ州サンタフェ郡にあるボナンザ・ランチで撮影していた西部劇映画「Rust」の撮影現場で起きた。発砲したのは、俳優のアレック・ボールドウィン氏。映画のセットの教会の椅子に座って、ホルスターから斜めに拳銃を抜く「クロスドローイング」というスタイルで、銃をカメラに向けるシーンのリハーサルをしていた。
銃弾は撮影監督のハリーナ・ハッチンス氏(42)の胸部と監督のジョエル・ソーザ氏の肩にあたった。ハッチンス氏は搬送先の病院で死亡が確認された。
保安室のメンドーサ氏は会見で、2人に当たった一発の弾丸は、ボールドウィン氏の拳銃「F.LLIピエッタロングコルト45口径リボルバー」から発射されたと発表している。
捜索令状などに使用された供述書によると、アシスタントディレクターのデイブ・ホール氏が教会を出てカートから銃を取り出し、教会の中でリハーサルをしていたボールドウィン氏に手渡した。この際、実弾は入っておらず、安全であることを意味する「コールドガン」だと伝えた。
銃をカートに置いたのは、武器係の責任者ハンナ・グティエレス・リード氏(24)だった。
刑事らは、現在も撮影場所にいたスタッフらに聞き込みを行なっているという。オルトウィス検事は、刑事訴追の判断に数週間を要するとの見通しを示した。なお、事件前に、スタッフらが実弾入り銃を使って射撃訓練をしていたとの報道については、確証が得られていないとしている。
FOXニュースは、著名な弁護士の話を元に、ボールドウィン氏も刑事訴追の対象となる可能性があると伝えている。
過去にマイケル・ジャクソン、三浦 和義、ジャシー・スモレットなどの弁護士を務めたマーク・ゲラゴス氏は同局のインタビューで「プロデューサーであり、予算に対する大きな影響力を持っていたアレック・ボールドウィンは、おそらく責任者だ」と指摘。「予算を削減しようとしたか、それが事件につながったか」について検察が捜査するのは間違いないと話した。
さらに「過失致死の起訴がなければ、驚きだ」と語った。
ボールドウィンは、この映画で共同プロデューサーを務めている。