米アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏(Jeff Bezos)が所有するブルー・オリジン(Blue Origin)は9日、ワシントンD.C.でベゾス氏自ら会見を開き、スペース・コロニー構想や、2024年までに月面着陸を目指す計画を明らかにした。同社が具体的な計画を示すのは今回が初めて。
プレゼンテーションは一部のメディアと、NASAなどの宇宙航空産業の役員、アポロ17で月面着陸したハリソン・シュミット(Jack Schmitt)氏やサンドラ・マグナス(Sandy Magnus)氏ら元宇宙飛行士、子供たちを招いて行われた。
ニューヨークタイムズによると、ベゾス氏は人類の使用するエネルギーは増加しており、その効率を上げても地球上の資源では不十分だと主張。太陽系の資源は無制限だ、地球外に資源を求める理由を述べた。
「我々は停止もしくは制限を望むか?それともダイナミズムと活力を求めるか?と問いかけ、簡単な選択だ。」と述べた。
物理学者のジェラード・オニール(Gerard O’Neill)氏が1970年代に提唱した「スペース・コロニー」を引用し、植物や居住スペースのある巨大な宇宙都市のグラフィックを紹介した。
Dailybeastによると、会見に参加していたリンデイ・エルキンス・タントン(Lindy Elkins-Tanton)氏は、ベゾス氏の話の途中で「彼は永遠に宇宙に行こうと思っている。」とその場でツイートした。
CNBCなどによると、新たなロケットエンジンBE-7を搭載した着陸機「ブルー・ムーン」(Blue Moon)は、2024年までに月面着陸を目指す。今年の夏にテスト飛行を実施する。ベゾス氏は、「月に戻る時が来た。そして今回はそこにとどまる」と述べた。
今年3月、マイク・ペンス(Mike Pence)副大統領は、NASAは5年以内に宇宙飛行士を再び月面着陸させると発表した。
ベゾス氏は「ペンス副大統領の2024年の月面着陸の目標は気に入っている。」と述べた上で、「私たちは3年前から計画を始めており、ブルー・オリジンは、そのスケジュールに間に合わせることができる。」と政府への協力姿勢を示した。
地球上で最も裕福なベゾス氏は2年前、アマゾン株を売却し、ブルー・オリジンに10億ドル(約1,100億円)以上の投資を行うと発表している。
ブルー・オリジンが開発を進める有人飛行ロケット「ニュー・シェパード」(New Shepard)は、これまでに11回テスト飛行を実施した。来年、初の有人飛行を試みる予定だ。