トランプ政権の内情を描いた「炎と怒り」などの著者として知られるマイケル・ウォルフ氏の新刊本には、スティーブ・バノン氏がジェフリー・エプスタイン被告に「メディアトレーニング」を施したエピソードが含まれているという。ニューヨークタイムズが伝えた。
バノン氏は2019年の初頭、CBSの看板番組「60ミニッツ」のインタビューの準備のため、ニューヨークにあるエプスタイン邸を訪問。エプスタイン被告にカメラを向けて「インタビューとコーチング」を行ったという。
なお、バノン氏は、2016年大統領選挙でトランプ氏の勝利を支え、2017年8月まで大統領首席戦略官を務めた。
バノン氏はエプスタイン被告に、カメラを直視しないとバカに見えると話したり、人種差別的な理論を口にしないよう助言。さらに小児性愛者ではないといったメッセージに固執するべきだとアドバイスしたという。最後には、エプタイン被告に感服し「魅力的だ。脅迫的ではないし、自然で友好的。不気味になど全く見えない。思いやりのある人物だ」と称えたという。
結局、CBSのインタビューは実現しなかった。エプスタイン被告は同年7月、少女らを性的搾取の目的で人身取引したとして、ニューヨーク南部地区連邦検事局によって起訴された。この翌月、拘留施設で自殺をはかり死亡している。
ウォルフ氏の新刊本「Too Famous: The Rich, the Powerful, the Wishful, the Notorious, the Damned」は10月19日に発売を予定している。
バノンの狙いは?
タイムズによると、バノン氏は声明で、エプスタイン被告にCBSのインタビューで話すよう勧めるとともに、15時間以上のインタビューを収録したことを認めたという。
ただし、目的に間する説明は異なっており、バノン氏は「誰にもメディアトレーニング」をしたことはないとウォルフ氏の描写を否定。インタビューは長時間ドキュメンタリーのために収録したもので、エプスタイン被告の少女への悪行がいかに「彼の金と影響力を利用した世界的なエスタブリッシュメントによって、体系的に支持、推奨され、報酬を与えられた生活の一部」であるかを描こうとしたと説明した。
同氏は、デイリーメールへの声明では、インタビューが「金融、科学、教育、医療、政治と文化のグローバルエリートとエプスタインの深い関係を明らかにしている」とも語っている。
バノン氏は過去に15本のドキュメンタリーを製作しているが、同作については明らかにしてこなかった。
タイムズの記事によると、ウォルフ氏の描写の元になったのはインタビューのトランスクリプトで、どのように入手したのか明らかでない。
バノン氏とエプスタイン被告の関係については、2018年、バノン氏がマンハッタンのエプスタイン邸を訪れる姿が目撃されている。また、エプスタイン被告の元執事は以前、エプスタイン被告が、バノン氏や英国王室のアンドルー王子、ビル・ゲイツ夫妻らをパリのアパートメントに招いたことがあると、フランスのメディアに明かしている。