リニューアル工事のため約4カ月間閉館していたニューヨーク近代美術館(MoMA)が、いよいよ10月21日より再オープンする。
増築にかけた総工費は4億5,000万ドル(約490億円)で、「デヴィッド・ゲフィン・ウィング」(David Geffen Wing)など約4,400平方メートルのギャラリースペースが加わった。
設計は、ディラー・スコフィディオ+レンフロ(Diller Scofidio + Renfro)とゲンスラー(Gensler)社が協力。DS+R社は、これまでにハドソンヤードのシェッド(the Shed)やハイラインの設計、リンカーン・センター(Lincoln Center)などの改装を手がけている。
MoMAは、1939年にフィリップ・グッドウィン(Philip Goodwin)とエドワード・ダレル・ストーン(Edward Durell Stone)が設計した建物が完成して以来、フィリップ・ジョンソン(Philip Johnson)やシーザー・ペリ(Cesar Pelli)、日本人の建築家、谷口吉生により複数回増改築されてきた。
リニューアル後のみどころは?
1階のロビーは拡張され、2つのギャラリーが設けられた。これらは、一般に無料開放される。MoMAは、透明性を高め、人々にアートをより身近に感じてもらいたいとしている。
現在はマイケル・アーミテージ(Michael Armitage)と新たなエネルギー資源をテーマとした「Energy」のギャラリーを設置。
ギフトショップは、地下の拡張されたスペースへと移動された。地上階の窓からは明るい光が差し込む。
4階の「マリ=ジョゼ・アンド・ヘンリー・クラビス・スタジオ」(The Marie-Josée and Henry Kravis Studio)は、世界初のパフォーマンススタジオだという。現代美術に関連したダンスや音楽作品を展示する。
現在は、電子音楽のパイオニア、デイヴィッド・チューダー(David Tudor)のイマーシブ型サウンドインスタレーション「レインフォレストV」(バージョン1)「Rainforest V (variation 1)」を展示。作品は半年ごとに入れ替わる予定だ。
2階の「ポーラ・アンド・ジェームズ・クラウン・クリエイティビティ・ラボ」(Creativity Lab)は、アートと人々をつなぐスペース。紙や文具、小さな機織り機などが設置されており、自由に使用できる。
西側に拡張された「デヴィッド・ゲフィン・ウィング」(2、4、5階)では、MoMAの膨大なコレクションが展示される。
ポープ・L「member: Pope.L, (1978–2001)」
キース・ヘリング(Keith Haring)「Untitled(1982 )」、ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)「Pink Panther(1988)」
リチャード・セラ(Richard Serra)「Equal」
ヘギュ・ヤン(Haegue Yang)「Handles(2019)」
フェイス・リングゴールド(Faith Ringgold)「American People Series #20: Die(1967)」
オノ・ヨーコ(Ono Yoko)「PEACE is POWER (2019) 」
ゴッホやピカソ、モネ、アンディ・ウォーホル、リキテンスタイン、バスキア、ジャクソン・ポロックなども引き続き展示される。
6階のウエスト・ウィングにはカフェ(The Carroll and Milton Petrie Terrace Café)が新たに設けられた。ダニー・マイヤーの「ザ・モダン」(The Modern)や「カフェ2」(Café 2)も再開する。
MoMAによると、年間の来館者数は約300万人だという。増築によって来館数はさらに増加すると予想している。
Museum of Modern Art (MoMA)
住所:11 W 53rd St, New York, NY 10019
入館料:大人25ドル、シニア18ドル、学生15ドル、16歳以下の子供は無料
開館時間:午前10時〜午後5時30分まで(土曜ー木)、午前10時〜午後9時(金)*ユニクロ・フリー・フライデー・ナイトは午後5時半以降は入館料無料。
公式サイト:www.moma.org