カリフォルニア州サンフランシスコの連邦地方裁判所は8日、トランプ政権が今年の一月より開始した移民政策「Migrant Protection Protocols(MPP)」の一時差し止めを命じた。
プログラムは「メキシコから米国に到着した外国人で、明らかに許可されない者と退去手続き中の者」は、裁判所による手続きの間、メキシコに送還し、待機させるというもの。トランプ大統領は昨年12月の発表時「メキシコ残留」政策と呼んでいた。MPPは今年1月にカリフォルニア州サン・イーサイドロの難民申請者から適用を開始し、その後、カレクシコやエルパソにエリアを拡大していた。CBSによると、政策実施後、約1,105人の中米移民がメキシコに送還されているという。
今年2月に入って、米国自由人権協会(ACLU)と南部貧困法律センター(SPLC)、ジェンダーおよび難民研究センター(Center for Gender & Refugee Studies)が、MPPは移民国籍法、行政手続法や国際的な人権法に違反するとして、ニールセン国土安全保障長官に対し裁判を起こしていた。
Richard Seeborg判事は判決あたり、国土安全保障省によるMPPの実行権限の有無と、MPPに国土安全保障省の法的義務を満たす充分な保護施策が含まれているかどうかが基本的な疑問であるとし、原告側は両方とも「ノー」であるとするに十分な答えを示したと、差しどめ理由を述べた。
トランプ大統領は3月、国境の壁建設を目的とした国家非常事態宣言を無効化する議会決議に対して、就任後初めてとなる拒否権を発動した。またホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドルの移民対策が不十分とし、各国への支援打ち切りを示唆したほか、メキシコに対し国境封鎖をちらつかせるなど、強行姿勢を示している。さらに昨日、移民対策の指揮を執るニールセン国長官が辞任することをツイッターで突然発表。昨年より大統領が解任に踏み切るとの噂があり、大統領が辞任を迫ったとの憶測が流れている。