フロリダ州議会は先週、ソーシャルメディア企業が政治家をプラットフォームから追放した場合に、企業に制裁を科す法案を両院で可決した。法案は今後、ディサンティス知事の署名を経て成立する見通し。
NBCニュースによると、追放対象者が州全域選挙の候補者の場合、1日あたり25万ドル、この他の候補者では2万5,000ドルの制裁金が科される。14日間のアカウント停止や、ポリシー違反に該当する投稿を削除することは許可される。
1月6日の議事堂襲撃事件後、SNS各社が、トランプ前大統領や保守派の人物らのアカウントを永久凍結したことは不当な検閲だとして、共和党議員の間で非難する声が強まっていた。
ディサンティス州知事は「シリコンバレーのオリガルヒ」と批判。フェイスブックやツイッター、YouTubeは、規模や広告力、世界的なリーチ力を利用して思考に影響を与え、政治的右派のコメントを左派よりも厳しく扱うなど、不当な扱いをしていると主張した。
さらに4月、YouTubeが、知事が科学者らと行ったコロナウイルスの対応に関する円卓会議の映像を削除すると、グーグルとYouTubeは「支配エリート」のストーリーに反する情報を検閲していると非難し「今年の会期中になんらかの対応をするつもりだ」と述べていた。
なおYouTubeは削除について、会議の出席者の一部が、マスクは子供の年齢では効果がなく、健康に害を及ぼす影響があるため、子供はつけるべきではないと話していたからだとしている。
法案は、州議会下院を77-38、上院を23-17の賛成多数で通過した。
フロリダ州議会のジョン・スナイダー下院議員は、法案はシリコンバレーに対して「彼らが絶対的な真実の裁定者ではないというメッセージを送るものだ」と語った。
これに対して、ネット企業の業界団体、NetChoiceは、法案は言論の自由の保護に違反していると批判。団体のCarl Szabo副代表はUSA Todayに対する声明で「法案は、保守派の価値観を放棄し、憲法修正第1条に抵触している」と主張した。「反ユダヤ主義、人種差別、差別的コンテンツを強制的にホストさせる」ことになると述べ「コンテンツモデレーションは、家族やフロリダのスモールビジネスのための安全で価値あるインターネットにとって欠かせないが、法案によってこの重要なエコシステムを損なわれる」と語った。
州議会のカルロス・ギレルモ・スミス(Carlos Guillermo Smith)上院議員(民主党)は、私企業のサービスを使用するならば、ルールに従うべきだと反論した。スミス議員はNBCに「候補者の追放に対する解決策」は「陰謀説を流さないことだ」と主張。「候補者または現職議員ならば、偽情報を配信するのを止めること。Qアノンをリツイートしないこと。ソーシャルメディアで嘘をつかないことだ」と述べた。