オバマ元大統領の勝利を支えたことで知られる政治コンサルタント、デイヴィッド・アクセルロッド氏は、バイデン大統領は経済分野のメッセージをめぐって「とんでもない過ち」を犯していると指摘。経済の好転を言い張るバイデン氏の「プライド」が敗北を招きかねないと警告した。
バイデン氏は選挙戦で経済をメッセージの中心に据え、堅調な雇用市場、インフラや半導体分野の成長、処方薬のコスト削減といった達成を繰り返し強調している。しかし、有権者の経済分野におけるバイデン氏の評価は低く、CNNの最新の世論調査では、バイデン政権の経済とインフレに対する支持率はそれぞれ34%、29%で依然として低い水準にとどまっている。
アクセルロッド氏は、オバマ選挙陣営の首席戦略官としてオバマ氏を勝利に導き、ホワイトハウスでは大統領上級顧問を務めた。
CNNのインタビューに出演した同氏は、バイデン氏の説明に関して「理解できない」と述べ、「私は、彼らは昨秋バイデノミクスを喧伝するために2,500万ドルを誤って費やしたと思っているが、大統領がここで主張したように数ヶ月経った後も同じ主張をしているのは理解できない」と語った。
バイデン氏はこれに先立つインタビューで、経済を「すでに好転させている」と主張。「世論調査のデータはずっと間違っている。君たちは世論調査をしているが、一人の回答を得るために何件電話をかけなければならないのか?」と調査データに疑問を呈した。「われわれの状況が悪いという考えだが、私の政権がスタートした時に人々は経済が崩壊するだろうと言っていたのだ。私たちは世界で最も強い経済を築いている。もう一度言おう、世界でだ」と語った。
アクセルロッド氏はこうした発言について、経済の改善は「絶対的に真実」としつつ、「しかし、それは人々が経済を経験している方法ではない。人々は生活コストのレンズを通じて経験している」と指摘した。
「彼は共感の上にキャリアを築いてきたのに、なぜ共感を持ってリーダーシップを発揮しないのか?」と述べ、「彼はとんでもない過ちをしていると思う。彼がこの選挙戦で勝利を逃すのなら、彼を打ち負かすのはドナルド・トランプではなく、彼自身のプライドだろう」と続けた。
インフレは2022年のピーク時の9%から3%台に低下したものの、Committee to Unleash Prosperityによると、バイデン政権の3年間で食料品の価格は21.1%、エネルギーは32.3%、ガソリン価格は34.6%、家賃は19.5%上昇している。
急激な価格上昇に対応するため、国民はパンデミック時代の貯蓄を切り崩している。サンフランシスコ連銀によると、2021年8月のピーク時に2.1兆ドルに達した超過貯蓄は、2024年3月に2020年の水準を720億ドル下回った。この一方で借金が増加しており、ニューヨーク連銀によると、2021年第1四半期に4.15兆ドルだった非住宅負債は、2023年第4四半期に4.89兆ドルに膨らんだ。クレジットカードの負債額は2023年第4四半期に過去最高の1.13兆ドルを記録した。