米国経済は、金利上昇や継続的なインフレ圧力、国内外の逆風にも関わらず、予想以上の速さで成長している。
米商務省が26日に発表した速報値によると、第3四半期の実質国内総生産(GDP)の伸びは、年率に換算して4.9%となった。5期連続でプラス、第2四半期の2.1%から大幅に拡大した。CNBCによると、エコノミストの予想は4.7%だった。
個人消費、民間在庫投資、政府支出、輸出、住宅投資の加速がGDPの拡大を牽引した。
第2四半期に0.8%増加した個人消費は、当四半期は4%増加し、GDP合計の増加分の2.7ポイントを占めた。なお個人消費がGDPに占める割合は約68%前後で推移している。
消費が経済を強く支えているものの、個人貯蓄は過去数ヶ月間減少が続いている。
5月に1兆ドルを超えていた個人貯蓄は、8月には7,941億ドルまで減少した。パンデミックの初期は、政府の景気刺激策により約6兆ドルまで膨れ上がっていた。
家計の債務も増加の一途で、第2四半期の国民全体の家計債務は過去最高の17兆ドル600億ドルに達した。このうちの1兆ドルはクレジットカードの債務が占める。
FRBのデータによると、クレジットカードの90日間延滞率は、昨年第2四半期の3.4%から5.1%に増加した。3四半期連続で増加しており、消費者の借入の返済能力が弱まる傾向にある。
保守派のシンクタンク、Center for a Free Economyのライアン・エリス代表は先週、Daily Callerのインタビューに、個人消費の拡大について「この場合、貯蓄の過剰によるものだ」と見方を示しつつ、「人々はインフレに対抗するためにこれらの貯蓄を取り崩し、所得の伸びよりも早いペースでコアの製品やサービスへの支出を増やしている」と指摘した。
ヘリテージ財団の研究員、EJ・アントニ氏は「過去3か月では、個人消費の伸びが所得の伸びを上回っている」と説明。「消費者は支出を増やすために貯蓄を使い果たし、借金をしてきた。 一時的にGDPを押し上げているが、貯蓄の減少で、長期的な経済成長の主な原動力である投資も抑制されている」と述べ、「短期的に景気後退に陥る可能性が高いことは、貯蓄の減少と相まって非常に憂慮すべきこと」と懸念を示した。