著名な投資家で大富豪のジョージ・ソロス氏は24日、ダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会で、ロシアによるウクライナへの侵攻は第三次世界大戦の始まりとなる可能性を指摘し、文明の存続のためにプーチン大統領をいち早く倒さなければならないと語った。
ソロス氏は、ウクライナ侵攻は晴天の霹靂ではなく、「開かれた社会」とロシアと中国が代表する「閉ざされた社会」の異なる統治システム間の争いの激化によるものと説明。この争いによって、パンデミックや気候変動、核戦争の回避といった人類共通の課題が二の次となり、結果として、文明が存続できなくなると主張した。
専門家らは気候変動について、対策が遅れをとっているばかりでなく、取り返しがつかなくなる寸前だと話していると述べ、「これが我々の文明の終わりかもしれない」と警告した。
現在、抑圧的な政権が優勢となり、開かれた社会は「包囲されている」と主張。今年2月に「制限のない友好関係」を宣言した中ロは最大の脅威とした。
一方、両国首脳は恐怖支配のゆえに、驚くほどの過ちを犯したと説明。プーチン氏は解放者としてウクライナに歓迎されると読み誤り、習近平氏は、持続不可能なゼロコロナ政策に固執していると指摘した。
プーチン氏については、「恐ろしい過ち」を犯したことを認識しており、停戦交渉の場を準備しているようだと説明。ただし、信頼を得られないことから、停戦は達成されないだろうと述べ、本人にとって辞任と同等である、和平交渉を始めなければならないだろうと、見通しを語った。
加えて、力が弱まれば、プーチン氏はさらに予測不能になりかねないと主張。EUは、代替エネルギーが開発される前に、プーチン氏が天然ガスの供給を止める可能性があることを理解しなければならないと述べた。
習近平氏について、「監視と抑圧のすべての手段」を掌握していることから、表面的に対抗する者はいないとしつつも、共産党内に不和があることはよく知られていると指摘。一般的な予測に反して、コロナをめぐる失政が原因で、3期目続投がなくなる可能性もあると述べると同時に、無事に3期目を迎えた場合でも、思い通りに中央政治局の委員を選ぶことができず、権力と影響力は弱まるだろうと考えを示した。
ソロス氏はまた、二国の脅威を加速した要因の一つは、人工知能をはじめとするデジタル技術だとも指摘。さらに、AIの急速な発展は、世界経済を支配するSNSやプラットフォームの台頭と密接に関連していると考えを語った。
最後に、すべての資源を動員して、戦争を早期に終結させなければならないと主張。文明を存続させる最善の方法は、プーチン氏をできる限り早く倒すことだと語った。