パンデミックをきっかけに一気に普及したウーバーイーツやドアダッシュといったデリバリーアプリ。それに伴い、ストアフロントを持たずに、サードパーティのアプリを通じた注文に特化した「ゴーストキッチン(バーチャルブランド、ダークキッチンとも)」と呼ばれる業態の成長が著しい。
ウェンディーズなど大手チェーンも参入しており、一部の推計では、2019年に431億ドルだった市場は、2027年には714億ドルにまで成長が見込まれるという。
立地に依存しない以上、カスタマーレビューや魅力的な画像に頼ることは容易に想像できるが、この度、あるティックトッカーが投稿した体験に、犯罪まがいとの指摘が相次ぎ話題となっている。
ユーザー名@Younggunsceoさんは、4日に投稿した動画で、Uber Eatsでジョージア州アトランタにあるアフリカ料理店「アフリカン・テンダー」で注文した料理が、メニュー画像と似ても似つかない仕上がりだったとし、「この人たちは生粋の詐欺師だ」と非難した。
それもそのはずで、@Younggunsceoさんが調べたところによると、画像は、他人の料理ブログなどから拝借したものだったことが判明した。
注文したのは南部料理の「海老とグリッツ」と「スイートヤム」の2点。あまりの貧相な出来栄えに怒りを通り越して、届いた品物を指しながら「アハハハハハハ」と大笑いし、「おーい、なんだよこれは〜」と呆れた声をあげた。
ちなみに、店側は知ってか知らずか、画像には、小さくブロガーのクレジットが表示されているという始末だった。
動画では、ウーバーイーツに苦情を入れ、返金を求めたメッセージのやりとりも公開。企業側の答えは「商品の準備方法は個々の販売者によって決定されるため、返金には応じられない。時間があったら、販売者に評価を入れてください」という、なんともすげない内容だった。
@Younggunsceoさんは「冗談だろ。彼らは、レストランにグーグルから写真を勝手に使用することを許して、こんな商品を届けるのか」「もっと何かマシなことができるだろう。これはありえない」と対応に不満を示して動画を締めくくった。
「アフリカン・テンダー」のウェブサイトは「Forrest Eatery」というオンラインオンリーのフードモールサイトの中にあり、どうやら提携店というくくりのようだ。「最高のレストランをワンストップのデリバリーハブに集めた」と謳う同社は、現在20店舗以上と提携していると説明している。所在地は「800 Forrest Street NW, Atlanta, GA 30318」で、キッチンスペースを使う事業者も募集している。グーグルマップで検索すると、平屋の倉庫のような建物で、ドアには「Forrest Eatery」の表示が確認できる。
この動画は現時点で、65万回以上再生され、8万件の「いいね」を獲得している。
「アフリカン・テンダー」が”最高の店”かどうかは別として、ユーザーらからは「私だったら、すぐにこのレストランを警察に通報するわ」「会社に連絡して、警察を呼んで、クレジット会社にも電話しなさい」「虚偽広告で違法だ」といった厳しいコメントが投稿されている。
さらに「これにUber Eatsのタグをつけて、すべてのSNSに投稿して」と拡散を呼びかける声のほか、「店の評価が3.3というのは、警告ととらえるべき」「一つ買ったら無料で一品というのは、いつも危険信号」「一度も行ったことないレストランからオーダーするときは、必ずグーグルで評価と写真をチェックする」「第一の失敗は、海老とグリッツをアフリカ料理店から注文したということ」など、アドバイスも寄せられている。