ジョージア州の選挙職員との間で争われた訴訟で1.48億ドル(210億円)の損害賠償金の支払いが確定したばかりのルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長が、連邦破産法11条の適用を申請した。The Hillが報じた。
ニューヨークの連邦破産裁判所に提出した書類には、かつての「アメリカの市長」ことジュリアーニ氏の資産は推定100万ドルから1000万ドル、負債が1億ドルから5億ドルと記載されているという。
今月15日、首都ワシントンの大陪審はジュリアーニ氏に対して、2020年選挙後の誤った主張により激しい中傷にさらされたジョージア州の選挙職員二人に合計1.48億ドルを支払うよう命じた。
ジュリアーニ氏には、懲罰的損害賠償合計7.500万ドルと、ルビー・フリーマン氏に対する補償的損害賠償1,620万ドル、ワンドレア・シェイ・モス氏に1,690万ドル、精神的苦痛に対してそれぞれ2,000万ドルが課せられたと報じられている。
フリーマン氏は審理で、ジュリアーニ氏の一本のツイートがきっかけとなり、罵詈雑言にあふれた電話やメッセージ、脅迫、人種差別攻撃が殺到し、私人逮捕をしようと祖母の家にやってくる者もいたと被害を訴えた。息子の携帯電話にも頻繁に電話がかかり、結果として高校1年目を落第の成績で終えるほどに学業に支障をきたしたと主張した。
原告が言及したのは2020年12月3日のツイートで、ジュリアーニ氏はトランプ陣営がシェアした映像を引用して「注目:ジョージアの映像では、監督者らが投票所職員に部屋を出るよう告げた後、投票用紙がつまったスーツケースを引き出して4人が残って票を数えている」と投稿していた。
ジュリアーニ氏は同訴訟に加えて、ジョージア州で刑事訴追されているほか、投票システム企業2社との名誉毀損訴訟にも直面している。
資産はいくら?
ジュリアーニ氏の資産の詳細は明らかではない。ニューヨークタイムズによると、ジュリアーニ氏は裁判所の要求を拒否して情報を提供しなかったという。
破産寸前との憶測は以前からあった。今年8月、訴訟に関連するデータを保管・処理する企業への支払い32万ドルを滞納していると明かし、「現時点ではこの金額を支払う資金がない」と自ら窮状を訴えていた。
ニューヨークと首都ワシントンで弁護士ライセンスを停止されたジュリアーニ氏の収入は、WABCのラジオ番組の40万ドルと、ポッドキャストやライブストリーミングから得られるいくばくかのお金とも伝えられている。今年7月にはマンハッタンのアッパーイーストサイドにある3ベッドルームの自宅を650万ドルで売りに出した。
9月には、トランプ氏がジュリアーニ氏のためにニュージャージー州ベッドミンスターのゴルフクラブで1人当たり10万ドルの資金調達イベントを開催し、話題になった。
なおAP通信は、ジュリアーニ氏は破産を宣言しても、ジョージア州選挙職員への損害賠償の支払いは消滅しないと指摘している。破産法では「故意かつ悪意のある損害」による負債の解消を認めていないという。