20世紀を代表する米建築家、フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)氏(1987-1959)が設計したグッゲンハイム美術館や落水荘など、米国にある8件の有名建築物がユネスコ世界遺産(UNESCO World Heritage)に登録されることが決定した。世界遺産委員会(WHC)が7日発表した。
現在、世界遺産には、1,000件以上が登録されている。ライト氏の8つの建築群が加わることで、米国の世界遺産は24件となる。
フランク・ロイド・ライト世界遺産8件
- ユニティー・テンプル(Unity Temple)イリノイ州オークパーク(工期:1906-1909年)
- フレデリック・C・ロビー邸(Frederick C. Robie House)イリノイ州シカゴ(1910年完成)
- タリアセン(Taliesin)ウィスコンシン州スプリング・グリーン(着工:1911年)
- ホリーホック邸(Hollyhock House)カリフォルニア州ロサンゼルス(工期:1981-1921年)
- 落水荘(Fallingwater)ペンシルベニア州ミルラン(工期:1936–1939年)
- ハーバート・キャサリン・ジェイコブス邸(Herbert and Katherine Jacobs House)ウィスコンシン州マディソン(工期:1936–1937年)
- タリアセン・ウエスト(Taliesin West)アリゾナ州スコッツデール(着工:1938年)
- グッゲンハイム美術館(Solomon R. Guggenheim Museum)ニューヨーク(工期:1956–59)
グッゲンハイム美術館財団のリチャード・アームストロング(Richard Armstrong)氏は声明で「ライト氏の文化遺産に対する貢献の重要性が認識される、国際的に評価された指定を受けたことを大変光栄に思う。」と喜びを述べ、「建築の象徴として(完成から)60周年を祝福したように、ライト氏のマスターピースは、世界中から訪れるビジターのインスピレーションとなり、ビーコンであり続ける。」と語った。
ライト氏の建築物を世界遺産に登録するために、フランク・ロイド・ライト建築管理委員会(The Frank Lloyd Wright Building Conservancy)や米国立公園局(National Park Service)などが15年以上にわたり活動を続けてきた。
8つの建築物は、近代建築の発展に大きな役割を果たしてきた。ユネスコは「顕著な普遍的価値」(Outstanding Universal Value)を登録の指標としている。ライト氏の建築物が登録された理由として以下の3つが挙げられた。
まず、ライト氏の建物は、幾何学的な抽象化と空間を取り入れることで完成する、機能的かつ情動的欲求に対応する建築物あること。次に、これら建築物のデザインが、自然の形態と本質に基づくものであること。そして、進化する米国の体験に対応するよう設計された建築であり、かつ、その魅力は普遍的であるとしている。
現在ニューヨークのグッゲンハイム美術館では、ロイド氏による建物の完成60周年を記念し、アーティストがキュレーションを手がけた「Artistic License」や、バスキアの「Defacement: The Untold Story」を開催している。