アメリカにガンプラの楽しさ広める:「ガンダムプラネット」孫 寧浚さん(2)

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マンハッタンの小さな倉庫でスタートしたオンラインショップ「ガンダムプラネット」。大手のリテールショップが苦戦する中、あえてリアル店舗を開設した理由とは?前回に続き、同店を経営するの孫 寧浚(ソン・ヨンジュン)さんに話を伺った。

──マンハッタンからニュージャージー州に移ったきっかけは?

立ち上げてから1年後の2012年に、ニュージャージー州にある1,000スクエアフィートのシェア倉庫に移転しました。マンハッタンでは、トラックのデリバリーはスケジュールがあってないようなもので、スペシャルフィーと呼ばれる余計なコストもかかったりと、流通ビジネスに不利なんですね。調べたところ、ニュージャージーが良いという結論になりました。お隣ですし、消費税も安いんです。

思い出をつくるホビーショップがなくなる

──どうやって今のリアル店舗と倉庫を兼ね備えた形態に変わっていったんですか?

スタートしてから3年くらいたった頃には、適正な在庫数と売り上げの予測がつき、資金繰りの目処が立つようになりました。

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その頃、ECが急激に流行って、アマゾンも株が上がりつづけたんですね。しかし一方で、ニューヨークのトイザらスが閉店し、会社も倒産しました。そうした中、なんでもオンラインにしていくことが逆に最先端じゃないと思ったんです。人が手に取ってショッピングする体験や、思い出をつくるホビーショップがなくなるなと。見せるところがないんだったら、うちができないかと思い、ショールームと倉庫が一緒にできる形を考え続けた結果、現在の場所に移転しました。(2020年にハッケンサックに購入した床面積1万スクエアフィートのビルに移転。)

今の場所に移ってから、お客さんへの見せ方を工夫したり、一緒に楽しむことを提案できるようになりましたし、これまでになかったプランを描くことができるようになったと思います。

──新オフィスに移ってからまもなくパンデミックになりましたね。

みんなお金を使わなくなるだろうと考えていたのですが、それが正反対で、政府から支給されたお金をどんどん使いはじめたんです。いきなりオーダーが殺到して、倉庫の在庫が空になるぐらい売れてしまいました。流通が停滞してしまい、商品を調達するのが大変で、あちこちに連絡してなんとか切り抜けました。

リテールと倉庫、オフィスを兼ねた2階建てのガンダムプラネットの店内
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Osamu F. MahupReporter.com
福崎 治 / Mahup Reporter 運営・編集責任者。ご意見、ご要望はメールにてinfo@mashupreporter.com