ヘンリー王子は7日、ロンドンのセント・ポール大聖堂で開催された傷痍軍人のための国際スポーツ大会「インビクタス・ゲーム」の記念式典に出席した。しかし、チャールズ国王をはじめ、王室の主要メンバーの姿はなかったという。
がんの治療を続けている国王はこの日、大聖堂から約4キロ離れたバッキンガム宮殿で園遊会を開催していた。デイリービーストによると、国王はウィリアム王子夫妻以外の「現役の王室メンバー全員」に参加を呼びかけ、約5,000人が参列したという。
BBCによると、大聖堂に到着したヘンリー王子は、通りがかりの人々や観光客などから多くの声援を受け、ダイアナ妃の弟で叔父のスペンサー伯爵から「あたたかく迎えられた」という。王子は訪英中の家族の警護を巡って法廷で争うなどしたが、イベントでは、ロンドン市警察の警官が周辺の警備にあたっていたと様子を伝えている。
デイリービーストの王室担当記者トム・スカイズ氏は、インビクタス・ゲームは「ロー・ワット」な式典だったと盛り上がり具合を説明。英王室の非難を恐れた王室関係者やセレブが、ヘンリー王子との関わりに「慎重になるのは当然のこと」と加えた。
一方で、英王室が「国王の息子が代表を務める素晴らしい慈善団体をボイコットすることに疑問を感じる」国民もいると指摘。インビクタス・ゲームは「明らかに王室が支援すべき」団体であり、今回の対応は「王室が、自ら損になることをおこなった典型的な例の一つ」と述べた。
同氏によると、国王や皇太子はかつて、インビクタス・ゲームを積極的に支援していたという。故エリザベス女王やオバマ元大統領が、プロモーションビデオにカメオ出演したこともあった。
国王と面会せず帰国
ヘンリー王子はロンドン滞在中、国王と対面する可能性も報じられたが、実現しなかった。王子の広報担当者は7日、BBCに声明で「残念ながら国王の予定が詰まっており、面会は不可能」と発表している。
さらに英王室は同日、ウィリアム皇太子が、陸軍航空隊の名誉連隊長に就任すると発表した。陸軍航空隊は、ヘンリー王子がアフガニスタン派遣の際に所属していた部隊。英紙インディペントは、王子がシニアメンバーを離脱しなければ、同役職を任された可能性があると伝えている。
英王室の一連の対応について、一部のメディアは「王室からの冷遇」「国王からの辛辣なメッセージ」「大きな侮辱」「ロイヤル・リベンジ」「王室は面会せずとも、競り合う独自の方法を見つけた」と報じている。
なお、王子の記念式典に参列しなかったのはロイヤルファミリーだけではない。妻のメーガン妃も訪英を見送った。広報担当者は、妃はカリフォルニア州の自宅で、5歳の誕生日を迎えるアーチー王子らと過ごす予定だとしている。
夫妻は今月、インビクタス・ゲームのイベントの一環としてナイジェリアを訪問する。デイリーメールは、国防相の職員から招待を受けており、「伝統的な文化活動」に参加するほか、軍人やその家族と面会する予定と伝えている。