ハーバード大学の元学長で、クリントン政権で財務長官を務めたローレンス・サマーズ氏は、学生団体が発表したイスラエルに対する非難声明ついて、「今日ほど幻滅し、疎外感を感じたことはない」と批判した。
ハマスがイスラエルへの大規模な攻撃を開始した7日、数十の学生団体が連名で「パレスチナ情勢に関するハーバードパレスチナ連帯グループによる共同声明」と題した声明文を発表。その中で学生らは、「進行中の暴力のすべてにイスラエル政権が完全に責任を負っている」とし、「過去20年間、ガザの200万人のパレスチナ人は、屋外刑務所での生活を強いられた」「体型的な土地の収奪から日常的な空爆、軍検問所の恣意的な拘束、強制的な家族の引き離しから標的を絞った殺害に至るまで、パレスチナ人は、ゆっくりかつ突然の死の状態に生きることを強いられた」と非難した。
「今日、パレスチナの試練は未知の領域に入った。これから数日間、植民地主義の報復に対して断固たる姿勢が求められる。われわれハーバードのコミュニティは、現在進行形のパレスチナ人の絶滅を阻止するために行動を起こすよう求める」と訴えた。
Harvard Crimsonによると声明はハーバード大学パレスチナ連帯委員会が執筆し、最終的に33の学生団体が共同署名した。
サマーズ氏はこの声明に、ハーバードは「道徳的にとんでもない声明」により定義づけられたとし、「気分が悪い」とコメント。「大学の管理部門が大学とこの発言を非難しないことに、私は理解できない」と大学側の対応を非難した。
コンピューターサイエンスの教授ボアズ・バラク氏は「私はイスラエルの政策に多くの批判を持っているが、この声明に署名した全員がテロ、強姦、および殺人を是認している」と指摘。「ハーバードは、これらのグループとの関係を解除するべきだ」と主張した。
議員からも非難の声が上がった。
共和党のテッド・クルーズ上院議員(テキサス)は「ハーバードはどうしてしまったんだ?」と投稿。「イスラエルを支持するか、何千人もの女性と子供をレイプ、誘拐、殺害するテロリストを支援するかの二者択一で、31の学生団体がテロリストを選択した」と述べ、「憎悪と反ユダヤ主義に目が眩む」と非難した。
下院共和党ナンバー3のエリス・ステファニク議員(ニューヨーク)は「バーバード学生グループがハマスの野蛮なテロ攻撃についてイスラエルを非難するのは忌むべき行為であり、卑劣だ」と投稿した。
7日、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスは、イスラエルに数千発のロケット弾を発射するなどの大規模な攻撃を実施。戦闘員らがイスラエル南部に侵入し、近隣地域や集会、軍事基地を襲撃した。攻撃から間もなく、イスラエルのネタニヤフ首相は「戦争状態」にあると宣言し、イスラエル国防軍はガザへの報復攻撃を開始した。9日時点でイスラエルの死者は800人以上、パレスチナ側は500人以上と伝えられている。ハマスがガザに連れ去った人質は150人を超えるとみられている。ハマス側は9日にアルジャジーラに宛てた声明で、「警告なしに国民の自宅を標的にした」場合は、人質を1人づつ処刑すると警告している。