24日、第18回トライベッカ映画祭(Tribeca Film Festival)がスタート。オープニングナイトでは、ロジャー・ロス・ウィリアムズ(Roger Ross Williams)監督のHBOドキュメンタリー「アポロ」(The Apollo)がハーレムのアポロシアターでワールドプレミア上映された。
映画祭の共同創始者、ロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)も登壇し、この劇場に足を踏み入れる度に、アーティストのエコーが聞こえ、素晴らしい歴史を感じると述べ、政府が分断や人種差別を推進するこの不穏な時代に、我々はこれを断固拒否すると宣言した。
1934年に開業し、今年85周年を迎えるアポロシアターは、アフリカ系アメリカ人のカルチャーの発信地として、ハーレムのコミュニティから長く支持されてきた。
作品では、多くの才能を発掘してきた「アマチュア・ナイト」(Amateur Night)で、舞台に立った若き日のエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)や、当時13歳のローリン・ヒル(Lauryn Hill)のフッテージほか、デューク・エリントン(Duke Ellington)、奇妙な果実(Strange Fruit)を歌うビリー・ホリデイ(Billie Holiday)、昨年他界したソウルの女王、アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)、ホニ・コールズ(Honi Coles)とコリー・アトキンス(Cholly Atkins)のタップダンス、ジェームス・ブラウン(James Brown)の「Say It Loud — I’m Black and I’m Proud」のパフォーマンスや、劇場で執り行われた葬儀の模様、ブルーノ・マーズのライブなど劇場の豊かな歴史が紹介される。
さらに、警官による黒人少年、ジェームス・パウエル(James Powell)さんの射殺事件をきっかけに起きた1964年のハーレム暴動(Harlem riot)や倒産など黒人の辿った苦難の歴史、タナハシ・コーツ(Ta-Nehisi Coates)が、米国で黒人であることを、息子に宛てた手紙で綴った書籍「世界と僕のあいだに」(Between the World and Me)を舞台化した過程を描く。
インタビューには、50年以上劇場で働くMr.アポロとのこと、シアターのツアー案内人ビリー・ミッチェル(Billy Mitchell)や、ファレル・ウィリアムズ(Pharrell Williams)、ジェイミー・フォックス(Jamie Foxx)、レスリー・アガムズ(Leslie Uggams)、ビートルズ時代にアポロシアターでの演奏を熱望したが叶わなかったというポール・マッカートニー(Paul McCarney) などが登場。劇場の意義について語る。
同ドキュメンタリーは秋にHBOでオンエアされる予定。