ニューヨーク市警察は1日、路上でアジア人女性の顔面を殴った事件に関して、アレクサンダー・ライト(Alexander Wright)(48)をヘイトクライムによる暴行および違法薬物所持の罪で起訴した。
55歳の女性は31日午後6時15分ごろ、チャイナタウン(65 Bayard St)の中華料理店の前を歩いていたところ、通りすがりのライト被告から突然顔面を強打された。
監視カメラには、女性が殴られた衝撃で、飲食店の屋外設備に座り込んだまま、目を閉じて動かなくなる姿が映っている。その後、女性は病院で手当てを受けた。命に別条はないという。
通行人によると、ライト被告は女性を殴った後、「彼女が俺をぶった。誰かがおれをぶった」などと叫んでいたという。事件現場付近で拘束された後、病院で精神鑑定を受けた。
abcニュースによると、ライト被告はホームレスで、過去に17回の逮捕歴があるという。直近ではアッパーイーストサイドで物を投げたり、男性の目をひっかいたりするなどして、器物破損や暴行などの容疑で5月に逮捕されている。2020年9月にもブロンクスで女性に唾を吐いたり、殴るなどの暴行をはたらき逮捕された。
ニューヨーク市警察のダーモット・シェイ警察委員長は今回の事件について「共通するのは、何度も何度も逮捕され、釈放されていることだ。この中には、精神疾患の人々が紛れこんでいる可能性もある」と述べた。シェイ氏は、2020年に改正された刑事司法制度を繰り返し非難している。
同年1月から施行された保釈金制度は、ほとんどの軽犯罪および暴力行為以外の重罪について、裁判官は保釈金を設定することができない。そのため、これらの罪の被告人は公判まで保釈金なしで身柄が解放される。
シェイ氏は「われわれは階段から突き落とした人を逮捕するが、再び街に戻している。これは馬鹿げている」と述べた。
デブラシオ市長は1日の会見で、監視カメラの映像を見ていないとしつつ「アジア人への恐ろしい攻撃が相次相次いでおり、許されない」と非難。事件への「深刻な懸念」を表明した。
昨年設けられたアジアンヘイトクライムタスクフォースについて触れ、被害にあった場合は申し出るよう呼びかけた。
チャイナタウンの活動家カーリン・チャン(Karlin Chan)氏は、同地区にはホームレス用のホテルが7件あると指摘。「市長はホームレスや精神障がい者をホテルに入れることで問題を隠そうとしている」と述べるなど、デブラシオ氏の失策を非難した。