米下院は17日、LGBTの人々を差別から保護する法案「平等法(Equality Act)」を236-173で可決した。
民主党議員の全員と、8名の共和党議員が賛成票を投じた。
Equality Actは、雇用や住宅、信用、教育、公共施設やサービス、連邦から助成金を得る機関、選挙人登録といった主要な分野において、性的指向と性自認に基づく差別禁止を連邦法に明示することで、LGBTの人々を保護する。1964年公民権法、公正住宅取引法、同一信用機会法を修正するほか、公共施設とサービスの規定する範囲を、小売店や金融サービス、法的サービス、移動サービスに拡大することを求める内容となっている。
法案は2015年に初めて上下両院に提出された。2017年にも再提出されたが、いずれも本会議に進むことはなかった。昨年の中間選挙を控え、ナンシー・ペロシ下院議長(当時:少数派の下院院内総務)は、民主党が勝利した場合に最優先で取り組むことを約束していた。
通過後、法案を作成したデイビッド・シシリーン議員(民主党)は、「すべての州の市民の大半が法案を支持している。市民はLGBTQコミュニティを守る時だと考えている。」と述べ、「法のもとで平等な保護を保証することは、アメリカの考えにおいて最も重要なことだ」と語った。
VOXによると、州単位では、現在19州が性的指向と性自認に基づく差別を州法によって禁じている。加えて、1州が性的指向による差別を禁じている。
一方、下院共和党トップのケビン・マッカーシー議員は、FOXニュースに「スポーツプログラムにおいて、数十年にわたる女性の進歩を消そうとする試み」「タイトルIXは党派によってはならない。民主党は、スポーツにおける少女や女性の場所を否定している」と述べるなど、連邦政府が財政補助する教育プログラムにおける性差別を禁止する連邦法に言及。反対を表明した。
法案が共和党が多数の上院を通過する見通しは低いとみられている。さらに通過した場合でも、トランプ大統領が拒否権を行使する可能性が考えられる。