ハバナ症候群は敵国の仕業?議会が情報機関の評価を否定

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下院情報特別委員会のCIA小委員会は、昨年3月に国家情報会議が提出したハバナ症候群の評価に関して、調査方法に問題があったと指摘。早急な再評価を求めるとともに、背後に外国の敵国が関与している可能性が高いとの見解を示した。

AHIs(異常な健康事象)またはハバナ症候群は、2016年にハバナにある大使館の職員や情報当局者の間で発生した原因不明の健康被害を指す。職員らは、大きな音が聞こえ、頭部に圧力を感じた後、めまいや歩行障害、視覚障害などの症状を訴えた。2018年には、中国に滞在する外交官とその家族など十数人が、同様の症状を訴えた。症状は数か月、場合によっては数年続くこともあり、長期的な症状には、頭痛、片頭痛の悪化、睡眠障害、平衡感覚の喪失、めまい、耳鳴り、認知能力の喪失が含まれるとされる。これまでにオーストリア、中国、コロンビア、ジョージア、ドイツ、インド、ポーランド、ロシア、ベトナムでも事例が報告されており、健康被害は推定334人に及んでいるとみられている。

国家情報会議は2023年に作成した評価報告書で、情報機関の大半がハバナ症候群の原因が外国の敵対勢力にある可能性は「非常に低い」と結論付けたと評価を示していた

CIA小委員会のリック・クロフォード委員長は「異常な健康被害に関する情報機関の結論の調査」と題した10ページの中間報告書の冒頭、情報コミュニティーの評価プロセスは「分析の完全性に欠け、定式化に非常に不規則性があった」と批判。「一部のAHIの背後に外国の敵対勢力がいる可能性がますます高まっており、委員長はそう確信している」とした。

調査により判明した問題として、国民や議員、同盟国、敵対国に対するナラティブをコントロールするために情報機関の間で合意を急ぐ動きがあったとしたほか、機関同士の評価に矛盾があったにも関わらず、「特定のグループや個人」によって、さらなる調査が妨害されたことが判明したと述べた。

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また、情報コミュニティーの評価は、2022年2月に公開された政府内外の専門家(IC専門家パネル)による調査結果と大いに異なるとも指摘。「小委員会は、これらの調査結果はより正確であると考えている」としつつ、「情報コミュニティーが議会に対して武器として使ったのと同じ戦術、つまり妨害、遅々​​として進まない態度、情報の恣意的な選択をIC専門家パネルに対しても使ったのではないかと危惧している」とした。

小委員会は暫定的な勧告として、情報コミュ二ティーは分析プロセスの変更するべきとしたほか、次期政権はAHIの対応を優先化しなければならないと主張。さらに、被害者への医療ケアを法制化し、確立するべきとしている。

Mashup Reporter 編集部
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