米住宅の価格高騰 専門家の来年の予想は?

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全米不動産協会の発表によると、8月の中古住宅販売価格の中央値は40万7,100ドルで前年同月比で3.9%上昇、3ヶ月連続で40万ドルを上回った。

販売が完了した中古住宅件数は前月比0.7%減少し、前年同月比で15.3%低下した。

中古住宅の売れ残りは8月末時点で前月比0.9%減の110万戸となり、現在の販売ペースを考慮すると3.3か月分に相当するとした。同協会では、歴史的に半年分の供給は緩やかな価格上昇を伴い、これを下回る供給レベルは、価格の急速な上昇を招く傾向があるとしている。

協会のチーフエコノミストは、住宅ローン金利の変化が短期的に大きな影響を与え、雇用の改善が長期的にプラスの影響を与えると述べつつ、「販売件数の減少にも関わらず、住宅価格は上昇を続けている。価格の上昇を緩和するには、供給量を2倍にする必要がある」と指摘した。

金利の動向

米国の30年固定平均住宅金利は、パンデミック中に3%を下回ったが、2022年に急上昇。先月以降7%を上回る水準が続いている。

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FRBは先週の会合で政策金利の誘導目標を現状の5.25-5.50%に据え置くことを決定したが、パウエル議長はインフレが目標(2%)に向かって持続的に低下していると確信できるまで、政策を抑制的な水準に維持するつもりだと説明。2024年から2025年にかけて高止まりする可能性を示した。中央銀行の金利は、間接的に住宅ローンを含む様々な金利やローンに影響を与える可能性が高い。

雇用

労働省が1日に公表した雇用統計によると、8月の非農業部門雇用者数は18万7,000人増加し、市場予想の17万人を上回った。一方、失業率は予想値の3.5%を上回る3.8%に上昇し、2022年2月以来の水準になった。失業率の上昇について、ニューヨークタイムズは、より多くの人が職探しをはじめた結果だろうと指摘している。賃金の上昇率は前月比0.2%増(7月は0.4%増)、前年同月比では4.3%増(7月は4.4%増)となり、伸びが鈍化した。

専門家の予想は?

米国では住宅所有者の大多数が30年固定の住宅ローンを組んでいるとされる。専門家らは、価格高騰および住宅供給不足の背景に、低金利の時期に物件を購入したオーナーが、高金利での買い換えを控えている点を挙げている。イリノイ大学の研究者ら行った調査によると、住宅ローンの金利が1%上昇すると、引越し率が9%減少するという。

先述の全米不動産協会は7月末の発表で、30年固定平均住宅金利は年内に6.4%に低下し、2024年には6%まで下がると予測。2023年の中古住宅価格の中央値は前年比で0.4%下落し、38万4,900ドルに達するとした。2024年には2.6%上昇して39万5,000ドルになると予想を示した。

不動産リスティングサイトのZillowのエコノミストは、金利上昇と受給の逼迫が緩和されるとの予測の上で、2024年8月までの住宅価格の上昇率は4.9%になると予想。8月に新規に売りに出された物件数が4%増加したことなどを理由に、7月に示していた予想値(6.9%)を下方修正した。

連邦住宅抵当貸付公社は先月の発表で、住宅価格は今後12ヶ月間で0.8%上昇し、その後12ヶ月でさらに0.9上昇すると予測した。供給量の逼迫とミレニアル世代の大規模な集団が、住宅購入の最盛期に到達することが価格上昇を牽引するとの分析を示した。

Mashup Reporter 編集部
Mashup Reporter 編集部です。ニューヨークから耳寄りの情報をお届けします。