議事堂襲撃事件 トランプ氏訴追の可能性は、下院特別委の調査いよいよ大詰め

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昨年1月6日の米議会議事堂襲撃事件を調査する米下院特別委員会は、19日に行われる最終公聴会でトランプ前大統領の刑事責任の有無について意見を述べ、採決で委員会の見解をまとめる。

複数のメディアが伝えたところによると、委員会は、暴動を扇動した罪、議会の調査妨害罪、米国に対する詐欺罪の少なくとも3つの罪状で、トランプ氏の訴追を司法省に付託する方針。特別委員会のベニー・トンプソン委員長(民主党・ミシシッピ州選出)は過去の取材で、「5つか6つの項目で」訴追の付託を検討していると話していた。

特別委員会には訴追権限がないため司法省に進言する形となるが、司法省には委員会の判断に基づき検討する義務はない。このため委員会が行う判断は、象徴的な意味合いにとどまると見られる。

なお、司法省はすでに議会襲撃事件に関して独自に捜査を進めており、専門の特別検察官を任命している。

特別委員会の所属議員で憲法の専門家、ジェイミー・ラスキン下院議員(民主党・メリーランド州選出)は、付託の判断においては、犯罪の証拠を示した「キー・プレーヤー」たちに焦点を当て、罪状は合衆国憲法に触れる内容に焦点を当てる、と話した。

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「キー・プレーヤー」には、次期下院議長就任が内定しているケビン・マッカーシー下院院内総務(共和党・カリフォルニア州選出)をはじめ、委員会の召喚に応じなかった5人の議員も含まれる。5人については、下院倫理委員会に諮る可能性があるとラスキン議員は指摘した。委員会は司法省のほか、倫理委員会や弁護士会などにも訴追の必要性を訴える方針。

これに対しトランプ氏の広報担当、スティーブン・チェン氏は、The Hillに宛てた声明で、委員会を「特別ではない委員会」とトランプ氏の言い回しを引用しつつ批判。「特別ではない委員会は、国の歴史に泥を塗ったトランプ嫌いの徒党らによるショー裁判を開いた。このつるし上げ裁判は、ハリウッドの自惚れたドキュメンタリーと同じで、国の機知を冒涜し、民主主義を嘲るものだ」と不満をあらわにした。

来年1月以降、共和党が下院の多数党となれば委員会は解散する見通しで、これに先駆け委員会は21日に調査の最終報告書も公開する予定。

司法省は訴追に踏み切る?

委員会が付託判断を下した場合、司法省は訴追に踏み切るか判断を委ねられるが、その場合、政治的要素を考慮したり、実際そうではなくても司法省独自の捜査に先入観が植え付けられたように見えることを警戒したりといった理由で、司法省が委員会の判断を無視する可能性もある。

アラバマ州北部地区の元連邦検事で、アラバマ大学ロースクールで教鞭を取るジョイス・バンス氏は17日、MSNBCのインタビューで、委員会は検察の役割を担う組織ではないことを強調。「犯罪行為が疑われる、という範囲を超えた、確固たる証拠」を示すのは委員会には難しいとし、「それは本来の目的とは違う。委員会はもっと一般的な意味合いで、罪に問うだけの理由があるかを示すと思う。委員会は法的な問題を処理する場所ではなく、起訴判断は司法省の仕事」と、委員会と司法省との視点の違いを説明した。

そのうえでバンス氏は、委員会が司法省に訴追を付託する可能性は十分にあるとし、その場合、特に暴動を扇動した罪は、トランプ氏に政府を妨害する明確な意図があったことを証明する必要があり、最も裏付けが困難だと述べた。

一方、今年2月には首都ワシントンの連邦地裁のアミット・メタ判事が「トランプ氏の発言内容は、意図をもって暴力を扇動した証拠になり得る」と判断を下し、3月にはカリフォルニア州の連邦地裁もこれに続いた。メディアでは、委員会が両地裁の判断を訴追付託の材料とするとの予想も出ている。

バンス氏はさらに、刑事訴追における証明のハードルの高さも指摘。「民事裁判ではハードルはずっと低い。(裏付けは)『可能性がある』『疑われる』程度でいい。刑事事件では、理論上疑わしいという範囲を超えて、陪審員全員に有罪を納得させる必要がある」としつつ、司法省にとっては、理論上疑わしいという説明すらハードルが高いと見解を述べた。

ただ、バンス氏は、司法省としては「(訴追を)やっても批判される。やらなくても批判される。だったらやるかもしれない」とも付け加えた。

Mashup Reporter 編集部
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