ニューヨークで賢く家を借りる方法 2024

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短期にせよ長期にせよ、海外で暮らすにあたって最初に悩むのが家探しだ。仕事の赴任で会社が手配してくれるならば良いが、商習慣も異なり相場さえわからない土地で、後悔しない物件選びは正直言って難しい。そんな時、頼りになるのが現地の日系の不動産会社だ。

今回は、ニューヨークの不動産ブローカー、ナミ・ニューヨーク不動産の山木奈美さんにウェビナーに出演いただき、マンハッタンで賃貸する上でのコツや注意点を解説いただいた。

Key Takeaways

契約は冬場が狙い目

まず押さえておきたいのが家賃相場。マンハッタンの相場は全米有数の高さだが、逼迫した在庫数に加えて、住宅ローン金利の高騰が賃貸需要を押し上げ、過去最高を記録した。現在の相場は、スタジオ(ワンルームに相当)で月額3,117ドル(約44万円)、1ベッドルームが4,234ドル(約60万円)、2BRが6,068ドル(85万円)、3BRになると1万ドルを超える。これに記録的な円安が追い打ちとなる。

それでも、賃貸市場が冷え込む冬場は相場が下がる傾向にあり、家賃交渉も有利に進められるという。

リスティングサイトで探すのはアリ?

最近は物件リスティングサイトも豊富だ。ニューヨークで最も信頼できるサイトは「Street Easy」で、他のサイトではコンタクトしてみたら成約済みだった、最悪の場合連絡さえこないといったこともあるという。

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リスティングサイトには仲介手数料がゼロといった物件もあり、そうした物件に直接連絡して契約すれば費用を抑えることができる。ただし、やりとりは英語になり、契約書の内容の妥当性を判断するのも難しい。そう考えると、交渉すべき点をわきまえた信頼できる日系の不動産会社を頼るのが、後々のトラブルやリスクの回避になる。

後悔しないための注意点

契約をしたら最後、条件は変えられない。そのために物件を選ぶ際には、できるだけ細かい点を確認して、交渉時に提示することが大切になる。追加の鍵代、ブラインドの有無、設置家具(前のテナントが置いていったものや大家が用意したもの)の撤去代金、さらには、ハンディマンと呼ばれる、電気や水回りの設備など、ちょっとした修理を担当する便利屋さんの腕前など、点検すべきポイントは多岐にわたる。追加の鍵を頼んだら一つ100ドル取られた、市販のブラインドが窓にフィットせずに特注を余儀なくされた、といった想定外の出費を避けるために確認プロセスは慎重に進めたい。

保証人はどうする?

車や住宅ローンの審査で求められるクレジットスコアは、賃貸のテナント審査にも使用される。負債額や過去の返済履歴などから信用度を数値化したものだが、アメリカに来たばかりの者にはそんなものは存在しない。

一般的にクレジットヒストリーがない場合、アメリカ在住者で家賃の80倍の年収を得ている人物に保証人を頼むか、家賃保証会社に加入することになる。前者のシナリオは大半の移住者にとって考えにくい。家賃保証会社の手数料は1ヶ月~だという。こうした費用も初期費用として考えておかなければならない。

家賃交渉のポイント

家賃交渉にあたっては、初月の家賃を免除にするといった譲歩を引き出すか、家賃自体の値引きを要求してみるのもあり。あらかじめ一ヶ月無料を売り物にしている場合も多々ある。ただし、1年以上滞在する場合は、家賃交渉を選択するべきだという。というのも、賃料は契約更新ごとに値上げされるからだ。値上げ率は1年目の家賃がベースになるので、トータルでみると家賃自体を下げたほうが有利な場合がある。ちなみに値上げ率は3%〜8%が一般的だという。

ウェビナーでは、契約の流れや初期費用、必要な提出書類、支払い方法といった基本的な情報も解説している。ニューヨークでの賃貸を予定している方は、アーカイブを参考にしてほしい。

Mashup Reporter 編集部
Mashup Reporter 編集部です。ニューヨークから耳寄りの情報をお届けします。