下院のパンデミック・コロナウイルス特別委員会のブラッド・ウェンストラップ委員長(共和党 オハイオ州)は、18日に開いた公聴会で、カリフォルニア州フレズノで見つかった中国企業による違法な研究所の問題に言及。パンデミックにつながる事故を起こしかねなかったと警告した。
委員会では、コロナの起源や機能獲得研究、研究に関連する政府支出の調査を進めている。
ウェンストラップ氏は、コロナが武漢の研究所から流出した可能性に触れつつ、研究所起源の事故は米国も例外ではなく、これまでにも「H1N1、H5N1、天然痘、結核、ジカ熱に関連した研究室関連の事故」が発生していると指摘。
こうした事故は「生物学的な材料の誤った取り扱い、漏洩したエアゾル、実験室の設計上の欠陥、人為的なミス」や「適切な保護具を正しく着用しなかったり、手袋に誤って穴が空いたりするなど、非常に単純なミス」で起きる場合があるとした上で、「このような事故はカリフォルニア州フレズノ郡でも簡単に起きた可能性があり、中国企業が違法に研究所を運営し、新型コロナウイルスやその他のウイルスを含む危険な実験を行っていたことがわかっている」と述べた。
今年の夏、人口2.5万人ほどの小さな都市フレズノ郡リードリーで、中国企業のPrestige Biotechが、空き家のはずの倉庫で無認可の研究所を運営していたことが発覚した。
USA Todayが市の管理当局者と法廷資料をもとに報じたところによると、郡の公衆衛生局が捜査を開始したのは昨年12月。空き家とされ、営業許可のない施設に園芸用のホースが取り付けられているのが目撃されたことがきっかけだった。
捜査には、州およびFBIを含む連邦捜査当局が加わった。
捜索の結果、倉庫の一部から「複数の液体容器やさまざまな器具」のほか、「血液、組織、その他の体液サンプル、血清、およびラベルのない数千本の液体と疑わしい生物学的材料」が確認された。
さらに、1000匹近くのネズミが、食べ物や水も与えられず過密なケージで不適切な状態で飼育されていた。Prestige Biotechの関係者は当局者に、これらのネズミはコロナウイルスを媒介するために「遺伝子組み換えされた」と説明したという。
4月に市は施設から押収したネズミ773匹を安楽死させた。180匹近くがすでに死んでいたという。
市の管理当局者は、最終的にHIV、COVID、クラミジア、風疹、マラリアなどのウイルスが発見されたと述べている。
Prestige Biotechは、2022年10月から無認可で研究所を運営していた。同社のXiuquin Yao代表は市当局に対して、現在すでに廃業しているUniversal Meditech Inc.(UMI)の債権者であり、資産を引き継いだと説明している。米食品医薬品局は7月、UMIの閉鎖を理由に、同社の販売していた妊娠検査薬など16製品のリコールを発表した。ただし、このうちの3製品については、市販前の承認なしに違反的に流通されたとしている。
違法施設の捜査では、現場で開発されたとみられるコロナや妊娠検査薬なども発見されたと報じられている。
フレズノ郡公衆衛生局によって公開された画像には、腫瘍ができたネズミの死体など、杜撰な管理だった状況が示されている。