俳優のジム・キャリーが、第94回アカデミー賞授賞式におけるウィル・スミスの「ビンタ」騒動に言及。暴行行為だけでなく、主演男優賞を獲得した際のウィル・スミスの受賞スピーチに、拍手喝采を送ったセレブを非難した。
CBSの朝の番組に出演したジム・キャリーは「スタンディング・オベーションにうんざりした。ハリウッドは、ただのいくじなし集団」と批判。「われわれは、もはや”クールなクラブ”でないことを示した」と語った。
平手打ちをされたクリス・ロックが、警察への被害届を見送ったことについて、「彼は煩わしいことをしたくなかった」と述べ、ウィル・スミスは逮捕されるべきだと主張した。「もし自分だったら、今朝2億ドルで訴えると発表していた。なぜなら、映像は永久に残り、どこにでも存在しているからだ。その侮辱は、長い間続くだろう」と話した。
続けて「観客から怒鳴られたり、ショーがウケなかったり、Twitterで何かを言われ、叫びたいと思っても、ステージに歩いて行って、顔をぶったたく権利はない」と、ウィル・スミスの行為を非難した。
司会者のゲイル・キングが、出来事が悪化したのではと指摘すると、「エスカレートしたということはない。彼の中に何かがあって、それが、どこからともなく湧き出たんだ。それが彼をイラつかせた」と自身の問題との考えを示唆した。
「彼は、素晴らしい事を成し遂げた」とウィル・スミスを称えつつも、多くの人々がアカデミー賞を獲得するために、一生懸命に努力し、ノミネートされるのは並大抵のことではないと説明。暴行によって「皆の輝かしい瞬間に、暗雲を投じた」と述べ、「極めて利己的」な行為と話した。
業界から非難の声
ジム・キャリーだけでなく、映画業界やコメディ業界からも厳しい意見が相次いでいる。
ロブ・ライナー監督は「言い訳無用だ」と断じ、クリス・ロックへの謝罪を求めた。「クリス・ロックが被害届を出さなくて、ラッキーだ」と指摘し、受賞スピーチの弁解は「たわ事」と一蹴。
コメディアンのロージー・オドネル氏は、トランプ時代と同様、誰も責任を取らないだろうと述べ、ハリウッドとウィル・スミスは「恥を知れ」と非難。ウィル・スミスの振る舞いは「ナルシストの狂人によるトキシック・マスカリニティ(有害な男らしさ)の惨めな表れ」と痛烈な言葉を送った。
全米製作者組合の名誉会長マーシャル・ハースコビッツ監督は、授賞式当日「オスカーの94年の歴史で初めて暴行があった後、人々は立ち上がり、拍手喝采した。臆病だ」とセレブを非難した。さらに、ウィル・スミスは「コミュニティの面目を失わせた」として、アカデミーに懲戒処分を求めた。
なお映画芸術科学アカデミーは28日、ウィル・スミスの「行動を非難する」と声明を発表。「事件に関する正式な調査」を開始したことを明らかにした。この発表後、ウィル・スミスもSNSで、クリス・ロックへの謝罪を表明した。