ホームニュースニューヨーク指名手配ポスターが人違い!...

指名手配ポスターが人違い!インスタグラマーがNY市警察を提訴

窃盗犯の指名手配ポスターに誤って掲載されたとして、女性がニューヨーク市警察を相手取り、3,000万ドル(約35億円)の損害賠償を求める民事訴訟を、マンハッタンの裁判所に提起した。ニューヨークポスト紙が伝えた。

訴えたのは、クイーンズ区在住のエヴァ・ロペス(Eva Lopez)さん(31)。訴状によると、ロペスさんが最初に写真のことを知ったのは昨年8月16日、恋人の友人から送られたテキストメッセージで知らされた。

ロペスさんは、始めはあまり深く考えておらず、「偽造写真か何かだと思った。まさか警察が私の写真を手配ポスターに使うとは考えられなかった」と当時を振り返った。ところが、上司から警察署に問い合わせた方がいいと助言を受け、ロペスさんはポスターに連絡先が書かれていたケヴィン・ドワイヤー刑事に電話をした。すると刑事は「電話を受ける前に、すでに間違いに気づいていた」と話し、警察のフェイスブックページとウェブサイトからはすでにポスターを取り下げたと説明。本当の犯人は、ロペスさんにはない腕のタトゥがあると告げたという。

しかし時すでに遅し。写真は広く出回り、ソーシャルメディアで拡散されていた。ロペスさんによると、ポスターはフェイスブックで数万回シェアされ、数百万人のフォロワーを持つブログでも、シェアされていたという。

ポスターに掲載されたロペスさんの写真は、ショッキングピンクのチューブトップと大きな金色のネックレス、派手な模様のレギンスにハイヒールといった出で立ちで、写真の上には赤字で「窃盗で指名手配中」「犯罪者ー逮捕の可能性あり」と書かれている。

なぜ間違った?

窃盗事件は8月3日にマンハッタン、イーストヴィレッジのアパートで発生。住人がオンラインで依頼したエスコートの女性から、1万3000ドル相当のロレックスと、ルームメイトのクレジットカードを盗まれたという。ロペスさんは、事件当日はマンハッタンではなくクイーンズにいたとしており、写真は事件から1、2カ月ほど前に、友人の誕生日パーティーで撮ったものだと話した。誤用についてドワイヤー刑事は、被害者らがロペスさんの写真を見せたと説明している。

実はロペスさんは、クイーンズのクラブでバーテンダーとして働く傍ら、インスタグラムに86万2000人のフォロワーを持つファッション系インフルエンサーとしても活躍している。

ロペスさんは、誤用によって「まるで私が窃盗犯の売春婦のように語られていた」と憤りを語った。「人は私が正直に話していると思っていなかった。本当に、本当に恥ずかしい思いをさせられている。私だけじゃなく、家族も」と、事件以来自分の評判が地に落ちてしまい、職場でも噂の的になっていると訴えた。その上で、「人々にあれはとにかく私じゃないと理解してもらいたい。私は全然関係ない」と訴訟に踏み切った理由を語った。

ロペスさんは、犯罪を起こしたこともエスコートとして働いたこともなければ、被害者も知らない、と強調。ロペスさんの代理人、マーク・シリアン弁護士は、被害者が依頼したエスコートの女性がロペスさんのSNS写真を盗用していたと見ており「ニューヨーク市警察は、間違いで無実の人物を特定し偽証や犯罪の汚名を着せてしまう前に、徹底した捜査を行うべきだ」と指摘した。

なお、ニューヨーク市警察が指名手配犯として別人の写真を誤って使ったのはこれが初めてではない。2020年には、ハーレム在住の妊婦、ヴァネッサ・アダムズさんの写真が強盗3人組の一人として掲載される出来事があった。アダムズさんは、デリで食料品を買っていたのをたまたま防犯カメラに写り込んだだけだとして、市警を訴えた。

Trending