「彼を勝たせはしない」エプスタイン性犯罪の被害者ら法廷証言

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27日、マンハッタンの連邦地方裁判所では、故ジェフリー・エプスタイン被告から性的被害を受けたとする十数名の女性が証言を行なった。

エプスタイン被告は7月、少女達を性的目的で人身取引を行なった罪などで起訴された。しかし、8月10日に拘置所で意識不明の状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。ニューヨーク市検視局は16日、首吊りによる自殺と断定した。

ニューヨーク南部地区連邦地裁のリチャード・バーマン(Richard M. Berman)判事は先週、被告人の死亡に伴う検察の起訴取り下げに関し、ヒアリングを27日に行うとし、弁護人と検察、そして被害者に証言の機会を与えるとしていた。

法廷では16人の被害女性が証言を行なった。

USA Todayによると、14歳の時にフロリダのパームビーチにあるエプスタイン氏の家で性的虐待を受けたというコートニー・ワイルドさんは「ジェフリー・エプスタインは、私とすべての被害者から1対1で彼と裁判所で対峙する機会を奪った。それゆえ、彼は臆病者だ」と述べ、「激しい怒りとともに、この事件について裁きが決して下されないことに悲しみを覚える」と語った。

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Jennifer Araoz
裁判所前で会見するジェニファー・アラオズさん ©mashupNY

15歳のときにマンハッタンの自宅で性的暴力を受けたと告発したジェニファー・アラオズさんは、エンターテイメント界におけるキャリアを追う夢を奪われた述べた。また「私を蝕んだプレデターに対して法廷で戦う機会が2度とないのが事実だ。彼らはこの男に自殺を許し、多くの人のために裁きを与える機会を奪ったのだ」と怒りを語った。

NYタイムズによると、別の女性は15歳だった2004年に、どのようにしてニューメキシコ州の牧場に連れていかれたかを説明した。女性はそこで性的暴行を受け、処女を奪われたと告発。この際エプスタイン氏は、彼女に成長を助けていると告げたという。

女優のAnouska De Georgiou氏は、「彼は私たちから奪ったものの大きさを知り得ないだろう。ここで私はあえて”私たち”と言おう。なぜなら、私は被害を受けたすべての少女であり、彼女たちは私でもある。今日、我々はここにいる者と、いない者とともに立ち上がる」と連帯を示した。

共犯者への捜査継続を要求

告発者の多くは、少女たちをリクルーティングするなど、エプスタイン氏の性犯罪に協力した人物に対する罪を追求するよう訴えたという。

告発者として度々メディアに取り上げられてきたヴァージニア・ロバーツ・ジュフレ(Virginia Roberts Giuffre)さんは「審判は終わるべきではない。継続しなければならない。彼は一人で行ったのではない、我々被害者はそれを知っている。」と語った。当時16歳だったジュフレさんは、ドナルド・トランプ氏の所有するフロリダの別荘で働いている際、エプスタイン氏の元恋人のギレーヌ・マックスウェル氏からリクルートされたと告発している。

モーリン・コミー(Maurene R. Comey)検察官は、法によりエプスタイン氏の起訴は取り下げられるとしつつ、潜在的な共犯者に対する政府の調査を禁じるものではない、と述べたという。

ヴァージニア諸島にあるエプスタイン氏の別荘で、同氏の仲間からマッサージをするよう指示されたと告発したシャンティー・デイビス(Chauntae Davies)さんは「この男を死によって勝たせはしない」と述べ、「ジェフリーがここで聞くことはできないだろうが、私は声を見つけた。戦いをやめはしない。これ以上沈黙させられることはない。」と語った。

一方、エプスタイン氏の弁護士のリード・ワインガルテン(Reid Weingarten)氏は、市の検視結果に対する不満を示し、エプスタイン氏の起訴取り下げにかかわらず、死に関する独立した調査の実施を求めた。ワインガルテン氏は、事件への公共の関心と、死を巡って多く出回る陰謀説に言及し、判事は公聴会を開催するか、独立した弁護人を割り当てることができると主張した。弁護人の要求に対し、判事はすぐに応じなかったという。