ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領(76)は25日、ビデオを通じて2020年大統領選への出馬を表明した。
ビデオでは、白人至上主義団体と反対派が衝突により死者を出した2017年のシャーロッツビル事件に触れ、「国家を決定づけた瞬間だった」と述べた。事件後のトランプ大統領の発言「両サイドともに、良い人もいる」について、「憎しみを拡散する者と、それに勇気を持って立ち向かう者に対等の道徳価値を与えた」とし、「この国家に対する脅威が、これまでの人生で体験したことのないものであることを悟った瞬間だった」と語った。
さらに「ドナルド・トランプに8年間を与えるならば、彼は永遠かつ根本的に国家の性格を変えてしまう」と述べ、「国家の重要な価値、世界における地位、優れた民主主義など、アメリカをアメリカ足らしめる全てが危険にさらされている。だから私は合衆国大統領への出馬を本日、発表する。」と、出馬理由を述べた。
出馬表明を受け、トランプ大統領はツイッターで「選挙戦にようこそ、お眠なジョー。」とあだ名で呼び、「予備選を勝ち抜くための頭があるか(多々疑わしいところだが)、それだけを願っている」などとコメントした。
ホームページによると、29日(月)からピッツバーグで選挙キャンペーンをスタートする。ビデオでは政策課題に触れなかったが、イベントでは、中間層の再建に向けたビジョンを中心に具体的課題を議論するとみられる。5月には、ニューハンプシャー、アイオワ、ネバダ、カリフォルニアなどでキャンペーンを行う。
バイデン氏の大統領選出馬はこれで3回目となる。1988年大統領選の民主党予備選では、イギリスのニール・キノック議員のスピーチを盗用したことが新聞報道により発覚。さらにロースクール時代の盗用など、過去についての疑惑が持ち上がり、途中で出馬を断念した。2007年に再度、民主党候補指名争いに名乗りを上げたが、思うような支持が得られず翌年1月に撤退した。
セクハラ疑惑などの課題も
今年、民主党議員の出馬表明が相次ぐ中、バイデン氏から過去に不適切な振る舞いを受けたとする複数の女性が名乗り出るなどして、非難の声が上がっている。バイデン氏は今後改める意向を述べ、釈明を行なった。しかし、その後にワシントンで開催されたイベントで、問題を冗談混じりに扱う場面があり、さらなる批判の声が上がっている。
1991年のクラレンス・トーマス(Clarence Thomas)最高裁判事の承認を巡る、元部下のアニタ・ヒル(Anita Hill)氏の司法委員会公聴会についても、長く非難の対象となっている。バイデン氏は当時司法委員会の委員長で、トーマス氏からセクハラを受けたとするヒル氏の議会公聴会を主導。公聴会は全国放送されたが、その場でヒル氏は共和党議員の厳しい追及さらされた。バイデン氏の公聴会のハンドリングが、改めて議論の的となりうるだろうと複数メディアは指摘する。さらに、これまでの刑事司法罰の厳罰化やイラク戦争の支持などついて、説明を求められるだろうとする声も多い。
バイデン氏が当選した場合、2021年の就任時点で78歳となり、最高齢の大統領となる。