米国の人気No.1ポッドキャスター、ジョー・ローガン氏は、カマラ・ハリス陣営との出演交渉が決裂した理由を明かした。
8日に配信されたエピソードで、「彼女の演説を全て聞きたくない。彼女のミドルクラスで育てられた云々といったくだりは聞きたくない」と述べる一方で、「どんな人物なのかをただ知りたかった」と出演を依頼した理由を説明。
ゲストから「彼女はローラースケーターだった。知ってた?」と尋ねられると、「ノーだ。それを知りたかった。あらゆることを話したかった。彼らは、話せない事があり、制限があると言ってきたから、”そんなもの知るか。とにかく彼女をここに連れてきてくれ”と言ったんだ」と語った。さらに、ハリス陣営が編集ができるかと聞いてきたため、「編集などない。われわれは編集しない」と要求を跳ねつけたと明かした。
ローガン氏は以前、ハリス陣営が対談時間を1時間と限定したり、収録場所を指定してきたことが出演に至らなかった理由とXに投稿していた。
同氏は番組で「討論会やテレビのインタビュー、観客の前で話している環境はフェイクのように感じる」と主張。ゲストと長時間対話することは「その人の考え方のパターンや、アイデアの処理の仕方が分かる。計算しているのか、自由に話しているのか把握することができる」と利点を説明した。
ハリス氏に関して、バイデン大統領が撤退表明した後のスピーチは「エネルギーに満ち溢れ、素晴らしかった」と称賛。「彼女は勝つかもしれないとさえ感じた」と振り返る一方で、それ以降は「同じスピーチが繰り返された」と語った。
トランプ氏についても、演説で繰り返しは多いとした上で、「ただし、順序は違う。(伝説的ロックバンド)グレイトフル・デッドのコンサートのようなものだ。ゴチャゴチャしている」と冗談混じりに語った。
大統領選の10日前に出演したトランプ氏は、公約やペンシルベニア州で起きた暗殺未遂事件、2020年大統領選の不正説、北朝鮮の金正恩との会話、風力発電による環境破壊、総合格闘技やエイリアンなど多岐にわたるテーマについて会話を交わした。同エピソードは、公開後3日間で、YouTubeだけで3,800万回再生されている。
ハリス氏の課題はコミュニケーション
男性に絶大な影響力持つ番組出演を見送ったことは、ハリス氏にとって大きな機会損失になったという声も上がっている。
2019年の民主党予備選に出馬した実業家アンドリュー・ヤン氏は、8日に放送されたTMZの番組で、「政治的ミス」と評した。
ローガン氏をフォローしている数千万人のリスナーはほぼ男性で「本来は彼女に投票しない人々」とし、「ハリス氏と民主党にとって完全にメリットがあった」と説明。「何を隠しているんだ」といった憶測など「悪い印象を与えた」可能性もあると加えた。
ヤン氏はまた、ニューズウィークに掲載した論説で、ハリス氏は「現政権の欠点に固執し、一対一のインタビューを苦手としていた」と敗因を分析。ハリス氏は質問を受けた際、「自分が何を考え、何を信じているか」ではなく、「ここで何を言うべきかを考えているように見える」と印象を語り、大統領候補者には「国民に話しかけ、彼らを味方につけること」が重要だと指摘した。
国民が大統領に求めるのは「強力なリーダーかつコミュニケーターだ。論点が台本で書かれているものであれば、オーセンティシティがないように思える」と述べ、2019年の予備選でハリス氏が勝ち残ることができなかったのも、これが理由の一つと指摘。大統領候補者指名争いのプロセスが実行されていれば、このような結果にならなかったとの見解を示した。