故ジェフリー・エプスタイン氏との取引をめぐって、米金融グループJPモルガン・チェースのCEO、ジェイミー・ダイモン氏が宣誓証言を求められていることがわかった。
フィナンシャル・タイムズによると、証言が求められたのは、エプスタイン氏の被害者とされる人物と米領ヴァージン諸島が同社を訴えた2つの裁判の一環で、5月を予定している。
ヴァージン諸島の司法当局は昨年12月に同社を提訴。エプスタイン氏が2008年にフロリダ州で性犯罪で有罪となった後も銀行サービスを提供して、違法な性犯罪から利益を獲得し、犯罪の隠蔽に貢献したと主張している。
この一ヶ月前には、被害を受けたとする女性2人が、同社とドイツ銀行に対して、両行がエプスタイン氏の犯罪から利益を得たとして、訴訟を提起した。
JPモルガン・チェースの弁護士は、ダイモン氏とエプスタイン氏の関わりを繰り返し否定しており、フィナンシャル・タイムズによると、ある関係者は、ダイモン氏がエプスタイン氏と直接連絡をとった記録も、顧客として維持し続ける話し合いに加わった記録もないと話しているという。
かわりに同社は今月8日、エプスタイン氏との不適切な関係を開示しなかったとして、2013年までJPモルガンに勤務していた英金融大手バークレイズの元CEO、ジェス・ステイリー氏を訴えた。
約30年間同社に勤めたステイリー氏は、富裕層の資産管理部門の幹部だった頃にエプスタイン氏との関係を築いたとされる。2021年に英国の規制当局からエプスタインとの関係の指摘を受けた後、バークレイズのCEOを退任した。
同社はマンハッタンの裁判所に提出した訴状で、ステイリー氏は、エプスタイン氏が人身売買された女性を虐待するのを「個人的に観察」したと主張しているほか、「若い女性と一緒に過ごした」と、深い関わりを指摘しているという。
これまでの裁判資料から報じられているところによると、2003年から2013年の間、口座を通じてエプスタイン氏に総額100万ドル以上が支払われていた。ステイリー氏はこの間、エプスタイン氏との間で1,200通のメールを交換し、エプスタイン氏からステイリー氏に若い女性らの画像が送られたこともあった。
エプスタイン氏は未成年の少女らにマッサージや性行為をさせたとして、フロリダ州で2007年に起訴された。翌年、連邦検察と司法取引を行い、2件の買春勧誘罪を認め、13カ月間服役した。2019年7月には、少女らを性的搾取の目的で人身取引したとして、ニューヨーク南部地区連邦検事局によって逮捕、起訴されたが、勾留中に自殺をはかり死亡した。