電子たばこの最大手JUUL LABS(ジュール・ラブズ)は25日、ケイン・バーンズ(Kevin Burns)最高経営責任者の辞任を発表した。後任には、同社の主要株主である米たばこ最大手アルトリア・グループで最高事業成長責任者(CGO)を務めたK.C. クロスウェイト(K.C. Crosthwaite)が就任する。
バーンズ氏は声明で、辞任を数週間前に決定していたと明かし、「JUULで働いてきたことを誇りに思う。私は今も、可燃性たばこをなくすという企業の使命は、極めて重要だと考えている。未成年の使用に対処するため、カテゴリー横断的な行動に産業を導びくための私のチームの取り組みを大変誇りに思う。」と語った。
発表によると、後任のクロスウェイト氏は、アルトリアで可燃性たばこの代替製品の拡大を監督した。アイコスの米国立ち上げに関連する商業面ならびに規制面の取り組みで重要な役割を果たしたという。
トップ交代の報告と同時に、同社は新方針として、米国におけるすべての放送、印刷、デジタルの製品広告を停止すると発表。さらに、ガイダンス作成に関する政府へのロビー活動を控え、最終的な政策を完全に支持し、遵守することを約束する、と発表した。
拡大する反電子たばこの動き
米国では昨日、電子たばこによる9人目の死亡が報じられたほか、米疾病予防管理センター(CDC)が先週、電子たばこの使用による肺疾患の症例が530人になったと発表するなど、健康被害が広がっている。疾患に関係する製品や物質は特定されていないが、食品安全医薬品局(FDA)が犯罪捜査を開始している。
また2018年の調査では、高校生の5人に1人が過去30日以内に電子たばこを使用したことを認めるなど、未成年の蔓延が社会問題となっている。
トランプ大統領は今月、「我々は、人々を病気にさせるわけにはいかない。子供達に影響を与えてはならない」と述べ、フレーバー付電子たばこの販売を禁止する方針を発表した。
州や地方レベルでも規制強化の動きが広がっており、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は17日、フレーバー付き電子たばことニコチンリキッドの販売禁止規制を直ちに施行することを発表した。
さらに米小売最大手のウォルマートは20日、すべての電子たばこ製品の取り扱いを中止することを発表した。
新CEOのクロスウェイト氏は声明で「大人の喫煙者の圧倒的多数がJUULのような代替製品を選ぶ未来を長い間信じてきた。….不幸にも、容認できないほどの若者の使用水準とわれわれの業界に対する国民の信頼の失墜によって、この未来が危険にさらされている。この状況に対応するため、我々は規制当局、議員や利害関係者と協力し、社会の信頼を回復しなければならない」と語った。
これとは別に、米フィリップ・モリス・インターナショナルは同日、アルトリアグループとの合併協議を終了すると発表。同社は「煙のない未来を達成するための相互の利害の一部」としてアイコスの米国でのローンチにともに注力すると発表した。