2020年大統領選の民主党候補指名を目指すカマラ・ハリス上院議員は6日、人種間の貧富の差の縮小を目的に、黒人の持ち家促進に連邦予算から1,000億ドル(10兆8,000億円)の補助金を支出する新たな公約を掲げた。
ハリス議員は「歴史的に見て富をもたらすのに最も効果のある持ち家について、黒人家族に本当の機会を与える時が来た。私の新たな政策は、アフリカ系アメリカ人が住宅ローンの審査で直面する不公平な障壁を取り除くものだ」とツイートした。
計画によると、住宅都市開発省から家の購入者に対し、頭金および不動産取引に関わる費用として最大で25,000ドル(270万円)を支給する。支給は、住宅融資で歴史的に差別を受けてきた地区(赤線)に住む、少なくとも400万人のコミュニティが対象となる。
ハリス議員はキャンペーンページで、黒人家庭の富の中央値は2053年までにゼロに到達する軌道にあるとし、主な原因には、1930年代にHome Owners’ Loan Corporation(住宅所有者資金貸付会社)の方針から生まれた赤線と、復員軍人に対して住宅や教育資金を提供する復員軍人援助法(G.I.Bill)があると主張。
30年代、政府主導で金融機関による住宅融資の拡大がはかられる一方、黒人の多いエリアは赤線で囲まれ、貸付拒否などの投資差別が行われた。またG.I.Billでは、民間の貸し手は、黒人の借り手に対し、住宅ローンやその他のローンを自由に拒否できたという。
発表によると、白人家庭の持ち家率は73%である一方、黒人家庭の持ち家率は45%で、1968年以来、基本的に変化していないという(ラテン系アメリカ人の持ち家率は47%)。ハリス議員は、政策により持ち家率の人種間格差を縮小することで黒人の富の中央値は32,113ドル成長すると試算。白人とのギャップが31%縮小するとしている。
これに加え、キャンペーンページでは、公正信用取引法(Fair Credit Reporting Act)を修正する計画も発表。「クレジットのない多くの人々が、レントや電話代、公共料金を期限内に全額支払っているが、これら”責任ある支払い履歴”がクレジットヒストリーに前向きに反映されていない」とし、これらの支払いをクレジットスコアの計算に含めるよう、法修正を行うとしている。
ハリス議員は6月27日の討論会で、バイデン元副大統領が、人種隔離政策を支持する議員と過去に協力したことを政治手腕としてアピールしたことや、バシングと呼ばれる、学区を超えて通学バスを提供する制度に反対したことなど、人種問題を巡る政治姿勢について批判を展開した。
討論会後のクイニピアック大学(Quinnipiac University)による世論調査では、バイデン氏が支持率を下げる一方、ハリス議員の支持率は7%から20%に上昇した。