ウクライナの首都キーウのクリチコ市長は、ドイツのメディアの取材に国家が独裁主義に向かっていると話すなど、ゼレンスキー大統領に向けたとみられる批判を展開した。
キーウ・インディペンデントによると、クリチコ氏は、ロシアとの全面戦争に突入した当初の数ヶ月間、ウクライナは指導者不在で混乱していたと説明。市長らが住民を守り、軍を支援するなど重要な指導的役割を果たしたと指摘した。しかし、大統領府は市長たちを権力集中にとって慣習的な障害としかみなしておらず、「ある時点で、われわれはすべてが一人の男の思いつきに頼るようなロシアと変わらなくなるだろう」と語った。
クリチコ氏は首都の市長でありながら全面戦争が始まって以来、ゼレンスキー氏と会話をしていないという。
両者の関係悪化が明るみに出たのは昨年11月。ゼレンスキー氏は国民向け演説で、ウクライナ全土の多くの地域が大規模な停電に見舞われたが、「最も大きな問題」はキーウにあると批判した。
ゼレンスキー氏は「残念ながら、すべての都市で地方自治体が良い仕事をしているわけではない」と述べ、「特にキーウでは多くの苦情が寄せられている」「キーウの住民はより多くの保護が必要だ」と主張。市長に「さらなる支援」をするべきとしたほか、市内の避難所の提供について「市長の事務所から質の高い仕事を期待している」と述べるなどした。
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これに対してクリチコ氏は当時、政治的な争いは「無意味」と反論。「ウクライナ国民と外国のパートナーにとっても醜い」と反撃していた。