ロサンゼルス郡の地区検事は4日、投票所係の個人情報を盗難したとして、ミシガン州のソフトウエア企業「コネック(Konnech)」のユージン・ユ最高経営責任者を逮捕、起訴したことを明らかにした。
同社は、「PollChief」と呼ばれる投票所係の管理システムを配布、独占で販売しており、カリフォルニア州では前回の選挙に使用された。ソフトウエアは投票所係の割り当てや連絡、給与の管理に使用されているという。
ロサンゼルス郡とは290万ドルで5年間の契約を締結しているが、データ保護に関する契約条項に違反し、個人情報を中国のサーバーに保管していることが発覚した。
なお、違反行為は、選挙関係者の個人情報にのみ関係するもので、投票の集計や選挙結果を変更するものではないとしている。
この前日、ニューヨークタイムズは「小さな選挙企業が、いかに陰謀論者の標的にされたか」と題した記事で、ユ被告をはじめとする同社の従業員が、選挙否定論者の「根拠を欠く投票不正の主張」の中心に置かれ、「悪質な脅迫」を受けていると報じていた。
同紙は、選挙否定論者のグループが、今年8月にフェニックスで開いた会合で、コネック社に関する「新たな陰謀論」を展開したと説明。
「粗末な証拠、またはまったく証拠を示さずに、そのグループは、米国の選挙ソフト零細企業コネックが、中国共産党と秘密のつながりを持ち、中国政府に米国の投票所係200万人の個人情報への裏口アクセスを与えていることを示唆した」とした上で、「その後数週間で陰謀論はインターネット上で拡散された。信者にとっては、この主張は、いかに中国が米国の選挙をほぼ完全にコントロールしているかを示していた」と解説した。
続けて「陰謀論者は、選挙当局者や選挙で重要な役割を果たしている民間企業を、風変わりな投票詐欺の主張の対象としてきた」としつつ、「しかし、コネックに対する攻撃は、極右の選挙否定論者が、二次的な企業やグループにも目を向けていることを示している。これらの主張は、受け身なオンラインの聴衆を惹きつけ、選挙の完全性に疑問を投げかけるのに利用されている」と伝えた。
同紙によると、コネック社は米国に21人、オーストラリアに6人の従業員を抱えている。ソフトウエアはロサンゼルス郡のほか、インディアナ州アレン郡でも使用されている。以前は中国企業「Jinhua Yulian Network Technology,」を傘下に持ち、Jinhuaのプログラマーがソフトの開発、検証に関わっていた。ただし2021年に関係を解消し、現在中国に従業員はいない。ユ被告は1986年に中国から移住し、米国籍を取得しているという。