かつて、全米で9,000店舗を展開していたレンタルビデオチェーン最大手「ブロックバスター」(Blockbuster)が、最後の1店舗になろうとしている。
現在3店舗が営業を続けているが、7月中旬、アラスカ州アンカレッジ(Anchorage)とフェアーバンクス(Fairbanks)の2店舗が、Facebookで、閉店を告知した。
ニューヨークタイムズによると、アラスカはWi-Fi環境が良くなかったため、ネットフリックス(Netflix)などの動画配信サービス開始後も、レンタルビデオショップが存在し続けることができたという。
今年、HBO「ラスト・ウィーク・トゥナイト」(Last Week Tonight With John Oliver)で、司会者ジョン・オリバー氏は、ラッセル・クロウが”離婚祝い”にオークションに出品した「シンデレラマン」の撮影小道具(レザー製のジョックストラップ)を7,000ドル(約77万円)で買取り、アラスカ州アンカレッジ店の経営を助けるため、ディスプレイ用に寄付したことを発表。
テレビの宣伝効果もあり、多くの客が訪れたが、それでも店の経営を続けるのは困難な状況となった。
2店舗が閉鎖することで、国内のブロックバスター店は、オレゴン州のベンド(Bend)店を残すのみとなった。
なお、オーストラリアやブラジル、ノルウェーなどの海外には、ブロックバスター店が存在するという。
動画配信サービスで経営悪化
ブロックバスターは、2004年には9,000店舗を展開していたが、1990年代後半ごろから、郵送サービスや無人のレンタルボックスを運営する「レッドボックス」(Redbox)や、動画配信サービスのネットフリックスなどの台頭で、経営が悪化。2010年に経営破綻している。
2011年に、衛星放送のディッシュ・ネットワーク(Dish Network)がブロックバスターを買収したが、2013年に直営300店舗を全て閉鎖することを発表した。しかし、ベンド店のように、ライセンスによる経営を行う店は、現在も営業を続けている。
最後の店舗は観光地に
最後の1店舗となったベンド店は、小さな町で18年間営業を続けており、DVD、ブルーレイ、ゲームビデオなど約14,000タイトルを取り扱っている。
タイムズによると、ジェネラル・マネージャーのサンディ・ハーディング(Sandi Harding)さんは、火曜の朝、ウォルマートやターゲットに出向き、新作タイトルを購入する。その後、コストコに行き、店頭で販売するキャンディなどを仕入れるのが日課となっている。
最後の1店舗となるニュースが広まった後、ノスタルジックを求めて、遠方から多くの人々が店を訪れ、観光名所化しているという。
家族で来店した15歳のシャーロットさんは、アルファベット順に陳列された商品を見て「最後の店だから、クールだと思って来たの。タイトルが順番に並んでて見やすい。オンラインだとタイトル見て、それで終わりだけど、ここは全ての映画を見るのに、店をスクロールしていかなきゃね。」と、初めて体験するビデオレンタル店の感想を述べた。
オーナーは、現段階で閉店の予定はないとしている。「従業員に給与を支払った後は、ほとんど利益は残らない状態だが、店はできる限り続けていこうと思っている。もし、それができなくなったら、店を博物館にすればいいさ。」とCBSニュースに冗談交じりに語った。
ブロックバスター オレゴン州ベンド店
211 NE Revere Ave, Bend, OR 97701