アイオワ州党員集会の勝利を祝うのも束の間、トランプ前大統領は16日、再びマンハッタンの裁判所に姿を現した。
トランプ氏は、先週11日にもニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官との間で争われている詐欺関連の民事訴訟のためにニューヨークの裁判所に出廷していた。
今回は、女性コラムニスト、ジーン・キャロル氏(80)がトランプ氏(77)に名誉を毀損されたとして提起した訴訟で、AP通信によると16日は9人の陪審員が選ばれた。
キャロル氏は、2019年6月掲載のニューヨークマガジンの記事で、マンハッタンの高級デパートの試着室で1996年にトランプ氏からレイプされたと告発したが、これに対してトランプ氏は、キャロル氏は「まったくの誤り」、本人と会ったこともなく、本を得るためのでっちあげと非難した。
キャロル氏は同年11月にトランプ氏を提訴したが、当時の司法長官ウィリアム・バー氏により、発言は大統領の職務の範囲内だとして阻止された。しかし昨年夏、バイデン政権下の司法省がこの決定を覆したことで、訴訟が前進することになった。
なおキャロル氏とトランプ氏が法廷で争うのは2回目になる。昨年4月から5月にわたって行われた審理で、陪審はレイプは認めなかったものの、トランプ氏に性的虐待と名誉毀損の責任があると認定し、500万ドルの損害賠償の支払いを命じた。この時の焦点は、2022年にトランプ氏がTruth Socialの投稿でキャロル氏を「詐欺」や「でっち上げ」呼ばわりした問題をめぐるものだった。
ニューヨークタイムズによると、訴訟を担当するルイス・カプラン連邦地裁判事は、審理に先立ち、2019年の発言は2022年のものと実質的に同様で、キャロル氏は名誉毀損を改めて証明する必要はないと判決を下している。さらに、一回目の評決に基づいて、トランプ氏は、試着室で起きたことに関するキャロル氏側の説明に異議を唱えることはできないとしている。
そのため、審理の範囲は賠償に限定される。キャロル氏は今回、名誉毀損に対する少なくとも1,000万ドルの損害賠償と、懲罰的損害賠償を求めている。
カプラン判事は審理は3~5日間続く可能性が高いと見通しを示している。CBSニュースによると、トランプ氏自らも弁護側の証人リストに名を連ねており、ニューハンプシャー州の予備選の前日となる22日に、証言台に立つ可能性がある。
この日、トランプ氏は法廷に入った後もTruth Socialにコメントを連投し、「歴史的なアイオワの勝利の翌日、私は、バイデンが推奨する魔女狩りのために、ロウアーマンハッタンで、会ったことも見たことも、触ったこともない女とデタラメ事件で戦わなければならない」「巨大な選挙介入の詐欺」「政治工作員が推進して、金を出している」と非難を続けた。
選挙活動で多忙を極めるトランプ氏だが、今後すべての訴訟に出席すると宣言している。16日は陪審員が選ばれた直後に法廷を去り、ニューハンプシャー州に移動。約1時間わたって選挙演説を行った。