マンハッタンのハドソンリバーパークに21日、人口島「リトルアイランド」(Little Island)がオープンした。14ストリートの西側に浮かぶ島には、緑豊かな遊歩道や芝生スペース、プレイグラウンドに加え、600人以上の観客を収容できるライブステージがある。6月中旬からから9月末までに500以上のイベントの開催を予定している。
建設資金は主に、メディア王のバリー・ディラー(Barry Diller)氏(79)と妻でデザイナーのダイアン・フォン・ファステンバーグ氏の財団の寄付金、2億6000万ドル(約280億円)によって賄われた。同氏は、32歳でパラマウントピクチャーズの会長に就任し、その後フォックススタジオやQVCの会長兼CEOを歴任。IACおよびエクスペディア・グループの会長を務めている。夫妻の財団は、空中庭園の「ハイライン」にも数十万ドルを寄付している。
建設プロジェクトは2012年にスタートした。環境アセスメントが不十分などの理由で中断を余儀されるなど、紆余曲折を経て完成した。
設計を手掛けたのは、イギリス人デザイナーのトーマス・ヘザウィック(Thomas Heatherwick)氏。ヘザウィック氏は、ハドソンヤードにある巨大な蜂の巣型のインスタレーション「ベッセル」を設計している。
ニューヨークタイムズによると、公園のメンテナンス費用は、今後20年間ディラー氏の財団が負担する。最終的な寄付総額は、380億ドルにふくらむ可能性があるという。
建築物の批評家マイケル・キメルマン(Michael Kimmelman)氏は、銀行家のエルカン・ノームバーグ氏がセントラルパーク建設した野外音楽堂(バンドシェル)や、「デラコートシアター」、メトロポリタン美術館など富裕層によって造られた建造物の例を挙げ、リトルアイランドは「良くも悪くもニューヨークの街はこのように動いてきた」と指摘。「ニューヨークの歴史上、おそらく地球上で最大の公園に対する民間のギフト」と語っている。