米国最古のデパート、ロード・アンド・テイラー(Lord & Taylor)が、ニューヨーク五番街のフラッグシップ店を、2019年初頭に閉店すると発表した。
5日、WWDによって閉店の一報が報じられた後、2週間前に着任した代表のヴァネッサ・ルフェーブル(Vanessa LeFebvre)氏の名前で、顧客宛に2019年初頭に閉店を知らせるメールが送られた。
ルフェーブル氏は顧客へのメールで、歴史ある五番街店の閉店については、「たやすい決断ではなかった。」とし、「2019年初頭までサービスを続けてくれる五番街店の社員の協力に感謝をする。」と述べた。また、「最も古い店を閉鎖するのは悲しい出来事だが、我々には明るい未来がある。」と綴った。
〜閉店を知らせるメール抜粋〜
I know that you, our customers, are very loyal to Lord & Taylor, and that is why I am reaching out to you personally to share that we will be closing our Fifth Avenue location in early 2019. These decisions are never easy, especially with a store that has as much legacy as Fifth Avenue and a brand that has as much heritage as Lord & Taylor. We appreciate the dedication of our Fifth Avenue associates who will continue to serve you through early 2019.
CBSニュースによると、ロード&テイラーやサックス フィフス アベニューなどを傘下に持つハドソンズ・ベイ(Hudson’s Bay)は、2019年までに約50店舗のうち10店舗近くを閉鎖すると発表している。
最近では、米大手小売ウォルマートのオンラインサイトWalmart.comに新たに店舗を開設するなど、オンラインでの販売を拡充している。
ロード&テイラーは、1826年にサミュエル・ロード(Samuel Lord)氏が創業した米国最古の高級百貨店。五番街の旗艦店は1914年の2月にオープンした。冬の風物詩でもあるホリデーウィンドウのパイオニア的な存在でもあり(1938年よりスタート)、毎年楽しみにしている顧客も多い。
昨年WeWorkに建物の売却を発表
昨年10月、ロード&テイラーは、シェアオフィス運営会社のウィーワーク(WeWork)に対し、8億5千万ドル(約935億円)で五番街の建物を売却することを発表した。
発表の際、2018年のホリデーシーズン以降、下層階をロード&テイラーが賃貸し、引き続き百貨店の運営を続ける予定だと報じられていたが、計画通りには進まなかったようだ。
苦戦の続く米小売り業界
昨年に引き続き、大手小売の苦戦が度々報じられている。3月の玩具小売大手、トイザらスの倒産発表に続き、クレアーズ(Claire’s) とナインウエストが連邦破産法第11条の適用の申請を行った。4月には160年の歴史を持つ老舗デパート、Bon-Ton(ボントン)が清算会社に売却され、倒産セールを開始した。5月には、スニーカーなどのスポーツウェアを販売するフットロッカー(Foot Locker)が110店舗の閉鎖を発表したほか、過去一年間で400店舗近くを閉鎖したシアーズ・ホールディングス(Sears Holdings)は、さらに63店舗のシアーズ(Sears)またはK-mart店の追加閉鎖を発表した。
これとは対照的にオンライン小売大手のアマゾンは4月、プライム会員数が1億人を突破したことを発表。2018年上四半期の業績が昨年同時期に比べ43%上昇するなど、業績を伸ばしている。
今年で見納めとなるホリデーウィンドウ
同百貨店は、動くディスプレイのパイオニアとして知られており、子供から大人も楽しめるホリデーウィンドウを楽しみにしている人も多い。