“成功した起業家”を装い、連邦政府の新型コロナ救済措置、中小企業向け給与保護プログラム(PPPローン)を悪用し、高級車などのぜいたく品を買いあさっていた男に有罪判決が下された。29日、米司法省が明らかにした。男には最大132年の禁錮刑が科される可能性がある。
有罪となったのは、フロリダ州マイアミ在住のバレスキー・バロシー(Valesky Barosy)被告(27)。9つの罪に問われており、今月12日、陪審員によって通信詐欺、資金洗浄、加重身元詐称など5件の罪で有罪判決が言い渡されていた。
司法省によると、バロシー被告はPPPの申請時、前年度の経費、収益、給与支払いなどについて米内国歳入庁(IRS)に虚偽の報告をし、不正に融資を受けていた。被告のコンピューターからはPPPの申請書や税務署類が見つかり、テキストメッセージの履歴には協力者らと情報をやり取りする様子も残されていた。協力者には、融資金の2割~3割の取り分を渡していたという。
声明で「被告は数十回にわたって自分や仲間の名で不正なPPPの申請を行った。申請総額は420万ドルにのぼり、200万ドル以上を実際に受け取った」と説明した。
被告は受け取った融資金で贅沢三昧をし、インスタグラムで、高級車ランボルギーニのスポーツカー「ウラカンEVO」、ロレックスやウブロの高級時計、ルイ・ヴィトン、グッチ、シャネルといった高級ブランドの洋服を投稿していたという。
自身が写った特大ポスターと共に撮影した写真には「世界をインスパイアするのは、ランボルギーニや何百万ドルの家じゃない。乗り越えた挑戦や困難だ」とコメントが添えられていた。
司法省は「被告はインスタグラムにランボルギーニや時計の写真を投稿し、起業家としての成功をアピールした。だがテキストメッセージによると、彼の最大の成功は『PPPを利用し切ったこと。自分の得意技だ』とのことだ。本人はそう自慢している」とした。
バロシー被告の量刑は来年2月23日に言い渡される。
これまでにもPPPや経済損害災害融資(EIDL)、失業手当など、コロナ給付金を狙った大型の詐欺事件がたびたび報じられている。2020年7月、約390万ドルを不正に受け、一部をランボルギーニの購入に充てるなどしたフロリダ在住の男が逮捕されたほか、ニューヨークでは今年、他人の個人情報を使って、パンデミック関連の失業保険給付金から430万ドルを不正に受給したとして、ブルックリンのギャング関係者11人が逮捕、起訴された。さらに今月、中国政府に関係するハッカー集団によって、コロナの中小企業向け融資や州の失業保険基金が狙われ、2,000万ドル(約27億円)が盗まれたと報じられた。
シークレットサービスは昨年12月、失業給付や事業者向けローンなどの救済金に関する詐欺は1,000億ドル(約13兆円)を超え、1,000件近くの捜査を進めていることを明らかにしている。